第14話
「おーい、ステラや。そのエメラルドはあげるんで、戻って来てください。流石にダンジョンで無警戒に宝石を愛でるのは危険です」
エメラルドをもって、うっとり眺めているステラさんに声をかける。
「そ、そうですね。このダンジョンは宝石の原石が石に紛れて転がってるって事ですよね?」
もっと探しましょうって顔をしてる。
俺もレッサードラゴンの素材はもう少し欲しいし別に良いんだけど、想定より先に進んで来ちゃってるんだよね。
同じ道帰っても宝石の原石はないだろうし、
探すならもっと先に進む必要がある。
ステラさんには悪いけど、宝石探しはまたの機会にした方が良いだろう。
そう説明したら、納得してくれたけど…。
「原石って本来、石の中に埋まっていて採掘するものですよね?ここの壁を掘ったら出てこないでしょうか?」
完全に諦めることはできなかったらしい。
ステラさんの言ってることは分からなくもないので、掘ってみてもいい気もするけどピッケルなんて持ってないよ?
「錬金術でレッサードラゴンの骨をピッケルの形にすれば行けるんじゃ無いですか?」
確かに出来ると思うけど、重心が適当になるし、ピッケルって形は何となく分かるけど、逆に言うと何となくしか分からないけど大丈夫かな?
ひとまず、スマホでピッケルを画像検索してそれとにらめっこしながら、レッサードラゴンの骨を使ったピッケルを作った。
滑り止めにはレッサードラゴンの皮を利用している。
「出来ちゃったな」
レッサードラゴンの素材でピッケルを作ったなんて他の人に知られたらなんて言われるんだろう。
現時点で最上級の素材だよね。しかも俺ら以外持っていない。
「烈火さん気にしたら負けです。そもそも手に入れたのは私たちなんですから、どう使おうが私たちの勝手です」
確かにその言い分も間違ってはいない。
「そうだ、ピッケル作って思ったんだけど、ステラさん魔法銃の設計図とか手に入りますか?」
設計図を見ながらなら、1から魔法銃を作れる気がする。
「軍専用銃とかでなければ手に入るますよ。どんな銃が良いですか?」
「とりあえず、サブマシンガンとハンドガンかな、それでもレッサードラゴンの素材を使って作ればマシンガンとか重火器よりも火力出そうだし。ハンドガンは護身用に持ち歩けるように出来るだけ小さいのが良いかな」
ダンジョンはサブマシンガンを使って、街を歩いたりする時に護身用としてハンドガンを使う予定だ。
「分かりました。お父様にお願いしておきます」
さて、思いつきの用事も済んだしピッケルを使ってひと仕事しますか。
ピッケルを岩に向かって掘り続けて10分程、レッサードラゴンの素材を使ったピッケルは軽いし、岩が豆腐みたいに削れるので大して疲れない。
「おっ!ちょっとしたに素材があるって素材探知に反応してる」
反応するところまで掘り進めると宝石ではなく鉱石が採掘できた。
「ヒヒイロカネか。火と相性が良くて錆びないらしいから俺と相性が良さそうだ」
日本で大昔にあったとされる鉱石だな。
予想外だったけど、使えそうな鉱石が手に入って俺は嬉しかったけど、宝石じゃなかったのでステラさんはガッカリしている。
「どの道、このピッケルだけじゃ綺麗に採掘出来なかっただろうし今度、宝石採掘の技術を持ってる人を連れてきてリベンジしようよ」
「確かに私たちでは道具があっても技術がないですから、もし見つけても上手く採掘出来なくてダメにしてしまう可能性も有りますか…」
どうやら納得してくれたらしい。
今日は来た道を戻って飛竜の谷から出ることになった。
帰り道にレッサードラゴンが何匹か襲ってきたので追加で素材を手に入れつつ、入口に戻ってくることが出来た。
「無事に帰って来たか。レッサードラゴンは倒せたかい?」
入口に戻ると無謀な人が入っていかないように立っている兵士の人に話しかけられた。
「何匹か倒しましたよ。これがレッサードラゴンの魔石です」
ステラさんにマジックバックから魔石を取り出してもらい、兵士の人に見せる。
「なぁ!本当にレッサードラゴンを!?」
まさかホントにレッサードラゴンを倒してくるとは思っていなかった様で本気で驚いている。
「烈火さん、魔石だとレッサードラゴンってわかりにくいですよ。爪とか牙の方がわかりやすと思いますよ」
そう言ってステラさんがマジックバックから
爪と牙を取り出す。
兵士の人は驚き過ぎて口をパクパクさせてる。
その間に素材をマジックバックに戻して入口を後にした。
「今晩はレッサードラゴンのお肉を食べ放題です。楽しみですね」
レッサードラゴンの肉は俺も凄い楽しみ。
不味いわけがないと思うし。
「私は今からお肉以外の食材を買いに行こうとおうんですが、烈火さんはどうしますか?先に部屋に帰りますか?」
「ステラさんに着いていこうと思うんだけど」
「それじゃあ手を繋いで一緒に行きましょう!」
ハイテンションなステラさんと恋人繋ぎをしながら食材が売っているお店へと向かって行った。
読んでいただきありがとうございます。
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