第13話
「ここが飛竜の谷か〜」
谷の中腹に出来た道を歩きながらあたりの景色を見渡す。
底には川が流れている。
もし、足を踏み外したら助からないだろうな。
「入るのに苦労しましたが、無事に入れて良かったです」
飛竜の谷に入ろうとしたら、入口を警備してる人に滅茶苦茶止められたからな。
現在だとLv6のダンジョンがクリアされてる最高Lvなんだから、Lv10に入ろうとしたら止められるのは分からなくも無いんだけど、
死んでも自己責任って形で自由に通してくれるかなって思ってたんだけど、ちょっと時間を取られてしまった。
さっきの人は俺たちのことを本気で心配してくれてたから、別に不快になったとかは無いけどね。
「レッサードラゴンはまだ索敵に反応しないし、今のうちに魔法を準備しておこう」
前回のスキルダンジョンの時みたいに、魔法銃を使わなくても一瞬で魔法を使った攻撃が出来るように予め魔法を使って待機状態で保持しておく。
今回は火球じゃなくて、形を巡航ミサイルを真似して作っているので火球を飛ばすより速度も出るだろう。
どれぐらい耐久があるかも分からないから今回は火力も結構強めに設定してる。
ひとまず50個火魔法で作った巡航ミサイルを自分の周囲に待機させる。
「なんでそんな数をこんなに早く魔法で作りだせるんですか?形も工夫してますし」
むぅと唸るステラさん、そのちょっと悔しそうな顔も可愛い。ほっぺたをぷにぷにしたくなる感じ、ほんとにしたら怒るだろうけど。
そんなステラさんの周りには5個の雷球が浮かんでいた。
「ステラさんはこの方法を初めて試したんですから、繰り返してればそのうち数も増えると思いますよ。魔力的にはどうですか?」
「私は元々魔力が多い方なので、このぐらいだったら連続して20回ぐらい使っても魔力は尽きないので安心して下さい」
「わかった、準備もできたしレッサードラゴンが出てくるまで先に進もう」
索敵に全く反応が無いので観光気分でフラフラ歩いていると1キロぐらい先でホバリングしているレッサードラゴンを見つけた。
索敵はまだLv1だし1キロ先の魔物まで感知出来ないってことだろうな。
相手がデカいから目視で見つけられたけど。
「相手も気づいてるみたい。ステラさん1キロ先で魔物を倒してもドロップ品は倒した人の目の前に出現するんだよね」
倒した後1キロ歩いてドロップ品を回収するとか面倒臭い。
「その筈です。ですが他の資源ダンジョンだと、余り遠くから狙うと、既に戦っている冒険者がいて横取りになってしまう事もあるので、魔物はある程度接近して倒すのを推奨されてます」
成程、ここはLv10資源ダンジョンだから他の人なんて居ないけどLv6以下の資源ダンジョンだとそうは行かないから、そうならないように気をつけよう。
「でも、今回は気にしなくていいわけだ!」
用意していた火魔法で作った巡航ミサイルを全部レッサードラゴンに向かって発射する。
最初の10発ぐらいは避けられたけど1発当たって怯んでからはほぼ全弾命中。
流石にそれだけ当たればレッサドラゴンもミンチになった。
倒した後に素材がドロップする系は、倒し方気にしなくていいから楽でいいな。
レッサードラゴンを倒して光の粒子になって消えるのを確認すると、目の前に光の粒子が集まり始める。
光の粒子は最終的に葉っぱに乗せられた肉に変化した。
「レッサードラゴンの肉か、食べたら美味しそうだけど、錬金術の素材にはならないな」
ドラゴンのお肉は高級品なのが定番だし嬉しいけど、今は錬金術の素材になる部位が良かったな〜。
「レッサードラゴンのお肉!王族ですら食べたことの無い伝説のお肉です!一体どんな味がするんでしょうか?」
予想以上にステラさんが喜んでる。
あの喜びようを見ると肉で良かったと思えてくるな。
肉を見て小躍りしているステラさんを眺めていると、ステラさんと目が合った。
ステラさんは黙ってレッサードラゴンのお肉をマジックバックにしまった。
「さぁ、烈火さん次に行きましょう」
突っ込むのはやめてあげよう。
その後は今と同じ要領で遠くのレッサードラゴンを倒して皮や牙、爪や鱗に魔石といった
素材を集めていく。
ステラさんはお肉がドロップした時が1番嬉しそうにしている。
肉は1回ドロップするだけで50キロぐらい有るから、売ったりしないなら当分無くならないな。
でも、国王に献上とかした方が良いのだろうか?
「あ!これエメラルドの原石だ」
錬金術のスキルには素材の探知機能と鑑定機能も備わっている。
探知機能にただの石ころが反応したので拾って鑑定してみるとエメラルドの原石だと判明した。
「エメラルド!烈火さん周りについている石を分離してみてください」
ステラさんも女性だし、宝石は好きなんだろう。
錬金術でエメラルドとそれ以外に分離する。
形は錬金術で何度でも変更出来るので取り敢えず真球にした。
大体直径10センチいくかいかないかぐらいだろうか?
「こんな大きさのエメラルド見たことないです」
ステラさんはまるで魅了されたようにエメラルドを眺めていた。
宝石を見てうっとりしているのは女性らしい気もするけど、レッサードラゴンのお肉を見て小躍りしているステラさんの方が可愛かったなとじゃかん失礼なことを考える烈火だった。
読んでいただきありがとうございます。
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