第9話
「なにあれ巨大なシオマネキ?」
ステラさんがこっちだ!という方向にまっすぐ突き進んでいくと右の鋏が胴体と同じぐらいあるカニの魔物が現れた。
「ビックハンマークラブですね。巨大な鋏を使った叩きつけ攻撃に注意が必要です。
これは遠距離からなら問題ないですが、粘着質の泡を吐いて移動を阻害して来るらしいです」
中々厄介な性能してるな。
近づかれる前に倒すためにステラさんが魔法銃を撃つがビックハンマークラブの殻に全て弾かれてしまっている。
ダメージは与えられてないけど注意を引いてくれるだけでじゅうぶん。
その間に作った野球ボールサイズの火球を飛ばす。
「これだと一撃で倒せないのか。加減が難しいな」
火球が当たった場所の殻は砕けてるけど、
ビックハンマークラブはまだ辛うじて生きている。
魔物は外骨格があったりするから地球で狂信者相手に使うよりも調整が難しい。
威力強くしすぎるとこっちにも被害でるし、
爆発力は上げるけど、爆発範囲は狭くするそれで行くか。
「あれならほぼ一撃と変わらないですよね?」
ステラさんが殻が砕けてる場所を狙って魔法銃を撃った。
今回は弾く殻が砕けてるのでビックハンマークラブにダメージを与える。
ステラさんの銃撃がトドメになって、ビックハンマークラブは光の粒子なって消えた。
「予想は出来てましたが、やっぱり私が火力不足ですね」
「そう?さっきのは殻が有るんだから出てくる魔物の中で防御力は高い方でしょ?
それに牽制にはなってたからじゅうぶんだったよ」
でも、今度から魔法をすぐ使えるように予め準備しておこう。
ピンポン玉サイズで威力マシマシ、範囲は最小限に調整した火球を20個、宙に浮かべる。
これなら魔法銃を使わなくても敵を発見した瞬間に攻撃出来る。
魔法の維持に若干の魔力と集中力が必要だから、魔法中の方が便利なのは変わらないけ
ど。
「そんな事も出来たんですか?魔法の準備までの牽制すらいらないじゃ無いですか。
私、階段探知以外、役立たず?」
「これを維持するために魔力を多少消費する必要があるし、魔法銃より便利かって言われるとそうでも無いよ?」
「そうなんですか?それでももう少し火力を出さないと、完全に足でまといです。今回手に入るレアスキルで解決できると嬉しいんですけど」
若干落ち込み気味のステラさんと歩いていると遠くに小型の人狼みたいなのがいる。
もしかしてコボルトかな?
このステージ海岸で視界が良いから索敵が微妙に役に立たないな。
ホッピングレーザーシェルの時は凄く役に立ったから、有能なスキルでは有るんだけどね。
「ちょっと遠いけどコボルトの群れですね。もうちょっと近ずいたら遠距離攻撃で一掃しましょう」
2人とも魔法職だしそうなるよね。
コボルトは不意打ち攻撃で一掃。
固まって行動してるから倒しやすかった。
その後もコボルトの群れと定期的に遭遇、殲滅。目的の階段を見つけることが出来た。
「一階下りただけでボス部屋・・・EXステージは階層もランダムなのか?」
それだと、階層が多くなる事も有りそうだし・・・だったら階層は固定が良かったかも。
「EXステージは2階層固定って可能性も有りますよ?」
そうだったら楽だけど、階層はランダムだと思って攻略した方が良さそう。
「今はボスを倒すのが先だな」
扉を開けてボス部屋の中に侵入すると、全身鎧で武装したオークが1匹待ち構えていた。
「オークジェネラルです。部下のオークがいないのはラッキーですね」
将軍ってぐらいだから、部下がいると厄介なスキルとか持ってるんだろうな。
それとエンシャントドラゴンもLv1ならクソ雑魚なのかな?って気になったので、階段に向かって進んでいる時、暇だったから聞いてみたら。
「エンシャントドラゴンとして考えるならクソ雑魚だと思いますよ?それでも、人間が討伐するのは大変だと思いますけど」
ってステラさんが言っていた。
やっぱり魔物によって基本性能は違うらしい。
でも、良く考えれば普通にわかる事だったな。
だって基本性能が全く同じでLvによってのみ
実力が変わるとかだったら、オークジェネラルLv6とオークLv6の強さが全く一緒って事になっちゃうもんね。
因みにボスモンスターは身体能力1.5倍の
バフがかかるらしい。
そんな事を考えていると部屋の中央で仁王立ちして動かなかったオークジェネラルが大剣を構えて突撃して来る。
ステラさんが魔法銃を乱射してるけど牽制にすらなっていない。
オークジェネラルは気にせずこちらに向かってくる。
これはまずいなと予め準備してある火球を全てオークジェネラルに向かって飛ばす。
するとオークジェネラルは動きを止め大剣でいくつかの火球を斬り落とした。
全てを斬り落とすのは無理だったようで、火球が当たった結果、オークジェネラルの左手が使えなくなっていた。
「あれでも、この程度のダメージしか与えられないのか。そう言えばこっちの世界では、
まだあれを使ったこと無かったな。丁度いいし試してみるか。ステラさんは巻き込んじゃうと不味いからちょっと下がってて」
ステラさんにそう言って、ある呪文を詠唱し始める。
「ふんぐるい むぐるうなふ
くとぅぐあ ふぉうまるはうと
んがあ・ぐあ なふるたぐん
いあ! くとぅぐあ!」
詠唱中、オークジェネラルが烈火を攻撃しようと近づくと、烈火の事を守るように現れた青い炎に邪魔をされて身動きが取れていなかった。
詠唱が終わると青い炎が烈火に集まり、烈火の姿が見えなくなる。
青い炎が徐々に小さくなり、姿が確認できるようになった烈火は青い炎を身に纏ったような姿をしていた。
読んでいただきありがとうございます。
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