訳あり男、異世界へ

塩分過太郎

第1話

「ようやく、生贄を用意することが出来た。これまでどれ程、苦労した事か」


はぁ?何言ってんのこいつ頭イカれてる奴じゃねえか、そもそもここは何処だ?家で寝てた筈なのに。


動こうとしたが縄で縛られていて身動きが取れない。

何とか縄を解けないかジタバタ暴れていると突然、水をかけられた。


(この匂い水じゃ無くてガソリン・・・)


そう思った瞬間ガソリンに火を付けれれて、一瞬で火だるまになってしまった。


「ギャァァァァ、アツイ、タスケテ!」


叫んだことで火を吸い込んでしまい喉と肺が焼けただれる。


既に目も見えなくなって、もはや早く殺してくれと願うことしか出来ない。


遂に熱さも痛みも感じなくなってしまった。

やっと死ねるのかなと思ったけど、なにか

おかしい。

現在進行形で火だるまになってるはずなのになんで熱くないの?死んで幽霊になった?


「あれ?なんか普通に喋れるようになってる。目も見えるようになってるし立って歩くことも出来る。火傷も1箇所もない。今も燃え続けてるのになんで?」


「それは私が助けたから。私のせいでくだらないことに巻き込まれてしまった君は完全に被害者だし申し訳無かったからね。だけど、普通の人間では無くなってしまっている。それは最初に謝っておく」


生贄だと言って俺に火をつけたのは男だったはずなんだが、いつの間にか褐色肌で赤い髪をしている美少女が目の前にたっていた。

何が起こってと当たりを見回すと、俺に火をつけた男の炭化した死体が転がっていた。


「助けていただいてありがとうございます。

助けていただいた身で失礼かもしれませんが、あれは、貴方が殺ったんですか?何がなんだか訳が分からなくて、色々説明して頂けると嬉しいんですが」


別に俺を殺そうとしてた奴だ正直、あいつの事はどうでもいいけど、この状況の説明が欲しい。

ただ、目の前の彼女は神のような上位存在なのだろうと何故か自然に理解した。

そうとしか思えないオーラが彼女から溢れ出している。


「しっかり説明は必要か。今の君の状態も含めて。先ずは自己紹介から行こう。

私はクトゥグア、昔やんちゃし過ぎて、最近まで封印されてた邪神だよ」


邪神・・・それにしては俺の事を助けてくれたけど、気まぐれ?


「神様直々に助けていただきありがとうございます。難波烈火です」


「思ったより動じなかったな。もしかして私の事、イタイやつだと思ってる?」


俺が火だるまになったのに火傷1つ負わず話せている時点で中二病とかそう言うじゃなくて、本物だって信じてますよ?


「そんな事は無いです。今ここで俺が生きていることが貴方様が神である証明だと理解していますので」


言葉使いが滅茶苦茶だな。神にどう接していいかわかんないし、無理に敬語を使おうとして逆に変になってるな。


「意地悪な質問だったな。それと喋り方は普通でいいからな。私のこともあー子と読んでくれ」


どうするのが正解だこれ?


「えっとクトゥグア様?」


「あー子」


「クトゥグア様?」


「あー子」


クトゥグア様と声をかけてもあー子としか返してくれない。どうやらあー子と呼ばなければ行けないらしい。


「あー子様?」


「まぁそれなら、どうした烈火何か質問でも?」


「あー子様が邪神と言うのは本当なんですか?俺には全くそうは見えないんですが」


「封印されて反省したんだよ。自分で言うのもあれだけど、昔は何もかも燃やし尽くして遊んでいてまさに邪神だった。

その頃の私が書いてある魔導書を見てあの男は烈火を生贄にして私を召喚して世界を燃やし尽くそうとしていた訳」


そう言う感じか。なんかゲームの話みたい。


「じゃあ、あー子様は反省して良い神様になったから召喚した男を殺して、逆に俺を助けてくれたということですか」


「まぁ、そんなところかな。手伝って欲しいことがあったからって言うのも有るけど」


「なるほど、何を手伝えば良いんですか?」


「えらく協力的だね?もうちょっと疑ったりするものじゃないのかな?」


「助けて貰ってますし。神様相手に抵抗なんて無意味でしょう?」


良い神だから人の味方だとは限らない。

神がわざわざ人間の味方する必要なんて無いだろうし、その時は味方した方が都合が良かったか結果的に人間の味方になっただけって感じだろう。都合が悪くなれば、いい神だろうと当たり前のように人間を滅ぼす。


「烈火の言う通りだね。正直、ここまで私と相性がいい人間を生贄に捧げてくれて、あの男には感謝してるぐらいだし」


やっぱり考えてることも読まれてるっぽい。


「そろそろ本題に入ろう。私のお願いはあの男みたいに邪神として私を崇拝している人間と教団を殲滅して欲しいんだよ」


怨みも有るし、ぜひ喜んでと言いたいところだが、生憎オレは一般人なのでそんなこと出来ないと思うんだけど。


「まぁ、そうだよね。でも今の烈火はもう一般人じゃ無いよ。手のひらに火球を作り出すイメージをしてご覧」


まさか魔法を使えるように!

あー子様に言われた通りイメージしてみると、手のひらにバスケットボールぐらいの火球が現れた。


「マジかよ」


「烈火を治すのに私の炎を使ったからね。今の君は自由自在に火を操れる。教団を潰すのもできる限りで良いから頼むよ」


「分かりました。俺も捕まりたくないんでもしかしたら大して消すことは出来ないかもしれないですが、頑張ります」


~~~


「久しぶりに見たなこの夢」


あー子様との初めての出会いを思い出しなが

ベットから起きる。

あの後、あー子様を崇める教団を潰す生活を続けていたのだが途中でニャル様っていう神様に会ったり色々大変だったな〜と思い出しながら、部屋を見回してある事に気づく。


「何処だここ?」




読んでいただきありがとうございます。


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