第8話 私の方言もなかなか
職場には中国の北部出身者と、南部出身者がいる。
発音の傾向の違いがあるのが私にもなんとなくわかる。
「ちゃー」と「ちゃぁ」ぐらいの違いで文字にするとたいしたことはない。
ただ、中国語って、ちゃー→とちゃー↑で意味が結構違うというので、中国人同士でも会話していて聞き取りにくいことはよくあるのだろう。
広い国は大変だねぇ。なんて思っていた。
ある日の中国人Sと私の会話
「昨日スーパーでメダカうりょったよー。」
「は?うりょ?」
「あー。もう1回! スーパー メダカを 売っている。」
Sと話すときいつもは、
「昨日、私 メダカ 見る。」のようにSの話し方をまねている。いわゆるカタコトの日本語だ。
しかし、その日はメダカを見つけた喜びを伝えたくて、方言が出てしまった。
売っていた→売っておった→うりょった!
音の高低などではなく、音自体が変わってしまっている。
私は東京で10年ほど過ごして、故郷に戻ってからは、あえて祖父母が使っていたような方言を使って会話することがある。親しさを表したり、ことばの音を楽しんだり。
「きのうやー、スーパーでメダカうりょったでぇ。かわいいから、こぉてしもうたんじゃけど、よーけ買い物しとったからもってかえるのにおうじょうしたぞよぉ」
同郷の人達と話すならこれくらい、わざと方言を交えて会話をすることもある。普通の会話に遊びが加わる。
未知の言葉だけでなく、自分がいつも使っている言葉に目を向けるのもまた楽しい。
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