Hintergrund

第1話 ハンドルネーム「～～」

ヒーロー

それは、善とされる行いを目立った形で行った人物の事で、英雄とも呼ばれる。

国民的英雄や劇の主人公をそう呼ぶこともある。

では、陰で人知れず英雄的行為を行ったものは何と呼ばれるのだろうか。

私は和布浦（めうら）なみ、小学一年生という仮の姿で過ごしている。

本当は秘密組織「裏面史」の創設者だ。

ハンドルネームは「～～」

ある時から私の中に生まれる以前の記憶が蘇ってきた。

いわゆるインターネットの民で、あまり外出はしない人だった。

あらゆる事象や世界をネットの知識で得ている。

小学一年生とは思えない知識量だし、学年一の物知りだと自負している。

小学校は退屈だ。

足し算とか引き算とか、～県はどこにあるとか、、、

調べればすぐにわかることを淡々とやっている。

休憩や体育なんかは楽しい。

運動はできるほうで、球技や水泳は好きだ。

そんな私には、数人だが仲のいい友達と呼べる人もいる。

そしてネット内にも友達がいる。

そのため二重生活になっている。

ネットの民に小学一年生だということは知られたくないし、

同時に友人や家族にネット上での活動については知られたくない。

「裏面史活動記録」20220113

1：　HN.～～

今日の報告を聞こうか。

2: HN.こーすけ

お、主、お久しぶりです。

今日は、トレーニングをしておりました。

課外の活動ならお任せを。

3: HN.yasaya

私は街の警備を。

3: HN.yutaro

今日は普通に仕事でしたよ～。

主は何を？

4: HN.～～

私は社会勉強と運動をしていた。

5: HN.yasaya

最近、大きな事件とか不可解な事件ってないですよね～

事件があっても仕事が忙しくなって大変ですけどねヽ(´Д`；)

6: HN.yutaro

そりゃ、yasayaさんは警備関連の仕事ですからね。

われわれ一般人にはニュースで見る程度の関りしかないですよ～

7: HN.～～

また、何かあったらログインしますね。

おやすみなさい。

8: HN.こーすけ

お疲れ様です。

おやすみなさい。

ピコン、、、

この掲示板は、、、氏に制作してもらった。

このアプリを切るときのピコンというのは氏のこだわりで、

昔のブラウン管テレビを切るときの光景、音を再現したそうだ。

ちなみに、「、、、」氏というのは、どうやらお金持ちのエンジニアらしい。

あまり掲示板に現れず、ほとんど話したこともない。ｌ

この掲示板に集まっているのは、「ヒデンマン」という昔のコミックに憧れを抱いた方々だ。

ヒデンマンはアメコミに触発されて十数年前に書かれた作品だがあまり売れなかったため、今ではコミックをそろえることも難しいレアな作品となってしまった。

主人公はごく普通のサラリーマン。正義感は強いが目立つのは嫌いなので普通の会社員としての生活に満足している。

ある日実家のお屋敷で隠し部屋を見つけ、そこには亡くなった祖父のヒーロー活動記録とヒーロースーツが。

それを元に、深夜だけヒーロー活動をすることに、、、

私はまだ読んでいない。

本の実物すら見たことはない。

作者はこれ以外に作品を書いていないようなのに、

単行本が出ているなど謎が多い。

いつか実物の本を読むタイミングがくるのだろうか。

つづく