ユビキリ

猫屋敷 鏡風

序章〜ユビキリ〜

「ゆーびきーりげーんまーん…うーそつーいたーらはーりせーんぼーんのーます…」


男は不気味な歌を口遊むと、戸上の小指に刃物を当てた。手足は鎖で壁に固定され、口をガムテープで塞がれている戸上は言葉にならない短い悲鳴を上げた。


「ユビキッタ!」


ニタリと不気味な笑みを浮かべた男は、刃物を持つ手に力を入れた。

じわじわと、戸上の小指に刃物がめり込んでいく。呻き声を上げる戸上。その声と苦痛に歪んだ表情を嘲笑うかのように、男は再び歌う。


「ゆーびきーりげーんまーん…」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る