第20話 うそつきは破滅の始まり
そんな感じでメリルとは仲直りし、今では何回もデートを重ねる仲だ。つまり、俺がメリルのことを婚約破棄するはずがないのだ。
この男爵令嬢、名前は何と言ったっけ?あぁ、確かミナーラとか言ったな。こいつには俺とメリルの中を割こうとしたんだから相応の報いを受けてもらおうじゃないか。お前は結果的にメリルのことを傷つけたんだからな。
「ミナーラとか言ったな?確かに、俺はメリルの事を100%信用しているがこの国の次期国王でもある。つまり、私情で物事を判断してはいけないということも理解している。」
「そ、そうです!マクリッド様はメリル様をお思いになられているかもしれませんが私の言っていることは事実です!メリル様はマクリッド様の前で猫をかぶっていたにすぎません!」
全く、こいつは今の状況を理解できていないのか?いや、出来ていないからこそ今回のことが出来たんだろうな。だが、俺はそのためにこの一年間、メリルとのデートの時間を削ってまで証拠集めに奮闘してきたのだ。こいつの化けの皮なんかすぐにはがしてやる。
「なるほど、君の言い分は理解した。ならば証拠を示してくれ。」
「えっ、証拠ですか?」
「そうだ、先ほども言っただろう。俺は未来の国王でもあるんだ、私情に流されず客観的な判断を行わなければならない。だから証拠だ、客観的な判断とはメリルに肩入れしないことに加えて君にも肩入れしないことだ。つまり、君の言い分を認めるためには証拠が必要になる。」
すると彼女は予想外だったのか動揺をし始める。俺に反対されるなどかけらも思っていなかったのだろう。
「そんな、私はメリル様にひどい目に合わされたのに、証拠がなければ彼女は無罪なのですか!」
「その言い方だと、証拠はないんだな。」
俺はこのヘッポコ男爵令嬢をにらみつけると彼女は少しだけ肩を震わせる。しかし、もはや俺の目にはこの行動もどこかの貴族の目を引くための芝居としか思えなかった。
「証拠はないけど私が言ったことは嘘ではありません!階段から突き落とされたことも、来ていた服に泥をかけられたことも、男子生徒に襲わせたことも。」
あくまで言い張るつもりか。それなら、この一年で俺が集めた証拠たちが火を噴くぜ!
「なるほど、それでは階段の件から聞こうか。階段から落とされたのであれば怪我の一つくらいしているだろう?それはいったいどこなんだ?」
「それは、足です!私はメリル様に階段で突き落とされて足が折れました!足が折れたのは事実ですし、私が階段から突き落とされたとき、メリル様がいたのは何人もの人たちが見ているはずです!」
そう言うと周囲の貴族達がざわざわとし始める。主に学園に在籍中のもの達だろう。今日のパーティーには貴族家当主以外に、その息子や娘も来ているからな。
「おい、ミナーラ嬢の話は本当なのか?」
「はい、父上。確かに、彼女の言う通り、階段から落ちた際にはメリル様がいらしていたという話でした。この話は何人もの学生が知っています。」
全く、本当のことも知らないで人から聞いたことだけを鵜呑みにしやがって。貴族なんだったら自分でそれくらいのこと調べようとしろよ。俺はこんな貴族たちにため息しか出なかった。
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