『最強で最凶の2人』〜竜人とその番、狼獣人の護衛旅は誰がサイキョウですか?〜
BBやっこ
ショート版
第1話 冒険者ギルド!
騒めく時間帯を過ぎた冒険者ギルドは、酒を飲む冒険者が残っていた。
早朝の新しい依頼争奪戦をするのは、若い奴か金が必要になった奴らで。
酒を飲んでいられる冒険者は、余裕を体現している。
実際は、たまたま良い依頼を得て懐が温かい者や夜にイソイソと仕事に行く。指名の依頼を受けるほどの名も力もなかった。
それでも安い酒と食事を提供がされる冒険者ギルドの一階は、活気付いていた。
緊急依頼があれば行く、心意気くらいはある。
そして、新しく冒険者になる者を歓迎する用意はあった。酔っ払い、稼いだ金は酒と食事に武器にかければすっからかん。
陽気に、金がなくなれば冒険へ。
そんな日常を過ごす中で、たまに楽しいイベントに出会う。
今日は“その日”だった。
「冒険者の登録をお願いします。」
受付でそう言ったのは、まだ未成年と思える声と体格。力自慢には見えない。装備はなかなか良いものだが、馴染んでいるか微妙なところで初々しく見える。
「よお新人か?」
「冒険者登録!ヒョロい体だなあ。」
絡みに行った男。まだ優しい対応だ。
しかしあれで怖気付くなら登録さえも止めておけと言うしかない。
その対象になった子供は、今の所逃げ帰る様子はなく佇んでいる。
慌てないのは、まあ合格点をやっても良いが。何か見せてくれはしないだろうか?
威勢が良いのもいいし、コソコソ帰るのも良いだろう。助けを呼んでみるか?気が乗った誰かが、面倒を見てやると言い出すかもな。
完全に物見の姿勢で、酒とつまみを食いながら結末を見届ける。
「悪いけど、相手をする気はないよ。」
気負いなく答えたものの、育ちが良いのが露見しただけで状況の好転は見込めないだろう。
「あの新人が、どうなるか賭けるか?」
「逃げ出すだろ、腕っぷしは期待できねえ。」
「いいや、意外とお帰り願えるかもな!」
丁寧な物言いで、戦意喪失。あまり絡むと受付が止めるのも織り込み済みだ。
「後どれくらい持つだろうか?」
「受付が止めるまで」
ピンっと硬貨が机に弾かれて、乗った。
「あいつらがここまで連れてくる、に賭ける!」
「教官が来て、訓練所行き」
「お前、そうなったもんな!」
賭けをし始める。楽しく、騒いでも冒険者の日常風景だった。
「退けて、冒険者登録する。」
最期の男が賭けて、事態は動いた。
そして、新人冒険者は魔法を使ったらしい。
気づけば、受付近くには
びしょ濡れの2人が出来上がったのだった。
「お帰りは、あっち。」
そう言った新人冒険者は、なんて事ない風にそう2人に告げたのだった。
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