歪ミノ咎学園 一年死組

軍艦 あびす

プロローグ

 ────春────

 突飛な出会いがある季節、ってのは漫画やアニメ、微々たるリア充共だけである。そりゃ偏見だけど。

 非リア+影の存在である我々は人柄の固定概念を植え付けやすい白紙の無設定の時期にとりあえずコミュ障や人見知りじゃないってのを誇示するために授業で手をあげることを心掛けるようにした。基本的にその行為は陽キャや顔に恵まれてる奴らだけに許される。


 時は遡り入学式────。

 入学式当日恐らく最後に入って来ただろう僕こと西船橋にしふなばしはぶっきらぼうに教室を見渡すと担任らしき先生が席を案内した。首から下げるネームカードに写真と名前があった。「壱年死組 担任 池上」名前こそ読み取れなかったが、その優しさに満ちた顔よりカードの表記に若干たじろいだが、声を発さずに席に着いた。

 出席番号と席が後ろの野田安谷のだあんやに話しかけられた。

「どうした?────が遅いとは珍しい」

 半ニヤケで問い掛けてくる。幼稚園時代からの幼なじみだけあって名前で呼んで…いや、名前なんて無いんだが。あるのは姓だけ。つまり苗字だ。周りの人間には俺の名前があるというのだが、自分ではわからない。聴こえない。視えない。

 入学式は終わり、幾らか時が流れ、中間テストの時期が到来。思えばこの辺りから、始まっていたかと思う時もある。


 ────ここ迄は序章である。

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