第6話
頭が痛いのは、長い髪の毛の括り方のせいだと、ずっと勘違いをしていた。
私は「友達関係」で悩んでないって。友達との関係は良好だって。
でも、実際頭が痛かったのは、私がそれですごく悩んでいたから。
だから、次第に「厭世観」だとかいう言葉だとか、考え方だとかがうまれた。
でも、その字の書き方は知らない。
まだ、自分は好き好んで←、その字を書きたいと思うほど、それについて考えていると思いたくなくて。
必死に気づかないようにしていたけれど……やっぱり私は悩んでいた。
「僕が……紺ちゃんの親友になる」
「え……?」
「紺ちゃん」
両手を少し大きい両手で握られる。
「は、はい……?」
まだ赤い目で、紅くんを見る。
「僕が、紺ちゃんの親友になる! 僕たち、親友になろう。あんな奴なんか忘れて。それで、他に違う友達……いや」
「……?」
「他の友達なんか作らなくていい。僕だけが紺ちゃんの友達で、親友が良い! それで紺ちゃんを独り占めしたい! 今までみたいに、でももっとずっと一緒にいたいし、誰にも取られたくない!! それで僕は紺ちゃんともっともっと仲良くなりたいし、もっと沢山紺ちゃんの絵を描きたい!! 間近で! 目の前で!その瞳の中まで描きたい!!!」
「……っ……くっくくっ」
「紺ちゃん……?」
「あはは、あははははは!!」
「え!?!? 僕なんか変なこと言った!?」
紅くんの、まるで水が流れるようかのように、その口が暴走した。そんなことを考えて、思っていたなんて。込み上げてきて、私は大笑いした。
「ち、違う……けど、あはは! ごめ、待って」
私の顔を心配そうに覗き込んでくる。「何か変なことを言ってしまったのではないか」って。
「こ、紅くんが凄く必死で、それが可愛くて、」
「かわっ!? 紺ちゃん、僕は本気で言ってるんだよ!?」
「違う、分かってるの。それが、とてもとても嬉しくて」
「うれ……っ……紺ちゃんが喜んでくれているなら……いいんだけど」
たとえ、私に友達がいても、それを奪ってでも、私と「一緒にいたい」なんて言ってくれるなんて。
こんな最高な友達・親友なら、私は取り繕った関係だけの沢山の「友達」より、紅くんを選ぶ。
「ありがとう。紅くん」
「……うん。僕も嬉しい」
それから私たち親友は、今までに出会ってきた「友達」の批評大会を始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます