154.領地をもらったみたいです。

 色々あってなし崩しに結婚してしまいました・・・お嫁さんになることは考えたこともありました・・・なれなかったけど・・・でも、まさかお嫁さんを迎えるとは・・・異世界侮れません・・・

 しかしですね・・・アヤハ達の方が順応が早いのはどうかと・・・もうすでに「アリスお母様」とか呼んでますし・・・セバスに至ってはアリスのことを「奥様」と呼んで私に「旦那様」と呼んだ方がいいかとたずねてくる始末です。もちろん「お嬢様」で通すよう言いつけましたとも。


 「カオリ、来週には叙爵式があるから覚えておいてね。」

 「えっ・・・叙爵式ですか?」

 叙爵式って・・・爵位を受け取るあれですよね・・・作法とか知りませんよ・・・

 「ア、アリス・・・私作法とか知らないんだけど・・・どうしよう・・・」

 「お父様がカオリに侯爵位を授けるとか言うから謹んでお受けしますとか言えばいいのよ。」

 さらっと大変なことを言いましたね・・・侯爵位ですって・・・伯爵じゃなかったのですか?

 「アリス・・・今、侯爵とか言いませんでしたか?伯爵じゃなかったのですか?」

 「あれ?言いませんでしたっけ?お父様が侯爵位にするって言ってたと・・・」

 「聞いてませんよ・・・」

 「そ、そう・・・でも決まったことだし・・・」

 どうやらこれは知っていて言わなかったのですね・・・まぁ、自由にしていいと言われていますしね・・・この際、伯爵でも侯爵でもかわらないでしょう・・・たんなる飾りです。

 「欲しければ領地もやるとか言ってたけど、もらう?」

 「いりません・・・面倒なだけです。」

 「カオリって欲がないのね・・・普通はもらうわよ・・・」

 「だって、領地とかもらったら土地の管理やら領民の管理とかで面倒が増えるだけじゃないですか・・・」

 「そんなの代官立てればいいじゃないの。カオリって全部自分でやろうとするのね。」

 「・・・・・・・・・・」

 「自分でやらないと気が済まない?」

 「いえ、そう言った考えに至りませんでした・・・」

 「はぁ~・・・面倒くさいと言いながら変なところで自分でやらないといけないって思うのね。」

 言われてしまいました・・・でもそうですね・・・面倒くさいと思いながら他人任せにするって思いつかない所ってありますね・・・いろんなラノベの影響でしょうか・・・領地経営とか自分でやってしまうとか・・・

 「それで、どうするの?領地。もらう?」

 「アリスは欲しいですか?」

 「そうね・・・保養地とかになりそうな所なら欲しいかな?」

 「そんないい所なんてもらえるはず無いでしょう。」

 「そうかしら?私とカオリが欲しいと言えばよっぽどなところで無い限りくれると思うけど・・・」

 娘にアマアマなお父さんでしょうか・・・国王がそんなんでいいのでしょうか・・・

 「王様って、アリスに甘いんですね・・・」

 「そんなことないわよ、カオリが侯爵位に着いたって言うのが大きいの。」

 「私ですか?」

 「ええ、国王がいて公爵、その下が侯爵よ。この国は公爵家は1つだからカオリは実質上から3番目よ。カオリが欲しいと言えば大抵の物は大丈夫よ。」

 ちょっ・・・侯爵ってそんなにえらいんですか・・・そこそこえらいとは思ってましたけど・・・

 「アリス・・・爵位の返上って・・・」

 「ダメだと思うわよ。私がカオリのお嫁さんになるんだし。」

 それが1番の間違いであったのでしょうね・・・痛恨のミスと言ったところでしょう・・・可愛いは正義と言ってきましたがアリスを見てその言葉が言えなくなってます。

 「ねぇ、カオリ。私を見て変なこと考えてない?」

 「え・・・か、考えてないですよ・・・」

 「そう・・・今回は許しておいてあげる。」

 今後色々大変そうです。




 叙爵式はつつがなく終わりましたよ・・・私が緊張しまくっただけでした・・・本当に「謹んでお受けします。」だけで良かったのですね・・・

 式の前に宰相さんから言われましたよ・・・王様が色々話をすると思うけど右から左で大丈夫だと・・・本当にいいのですか?心配になります。


 式が終わったあとは、別室で領地とかのお話しです。もう、アリスに丸投げです。時折、アリスが「ここはどうかな?」とか聞いてきますが私にはよく分からないので適当に答えています。

 「カオリ、ちょこっとだけ問題があるけど良いところがあったからそこにしたね。」

 ん?ちょっと待ってください・・・問題があるって何ですか・・・

 「アリス、問題があるっていいました?」

 「ええ、カオリが全部まかすって言ったから、そこに決めたよ。」

 「それは言いましたが・・・わざわざ問題のあるところにする必要って・・・」

 王様・・・そのにこやかな顔は何ですか・・・最初からそのつもりでしたね。

 「カオリ、場所は本当にいいところなの。ちょっと海賊が多いだけで・・・美味しいものも多いって聞くの。」

 「美味しいものが多いのですか?」

 「ええ、おばあさまも好きだっておっしゃってたからきっとカオリも好きかなって・・・」

 「海賊が邪魔で、その海産物が手に入らないと・・・」

 「そう言うことですね。」

 「わかりました。海賊は殲滅しましょう。海産物優先です。」

 「くすっ・・・カオリならきっとそう言うと思ったわ。」

 そこまでお見通しですか・・・仕方ありません・・・美味しいものの為なら全力で海賊を排除しましょう。

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