147.泣きつかれたみたいです。

 さあ、さっさとタイランスまで行って用事を済ませてきてしまいましょう。今回はメアリも連れて行きますし、キクも一緒ですから6人での移動です。馬車は先日作った物を使います。王女殿下にあげるのはもう少し先です。ラッセルさんから私の馬車を返してもらってからですね。結構バラバラにされてましたけど、ちゃんと組み立てられているでしょうか・・・ちょっとだけ心配です。今心配しても仕方のないことですので、後日ラッセルさんに確認です。


 こうしてみると、いろんな所に連絡を取るにも手紙を出すとか面倒ですし、時間もかかります。携帯電話があれば便利ではありますが、例え出来たとしても、持たせる相手を選ばないといけません。そうなると、伝書鳩が有効ですね。鷹を作ることに成功してますし。鳩だって大丈夫なはずです。私の作る鳩です、どこに行って欲しいと言えばきっと行ってくれるでしょう。そのくらい賢いと信じますよ。

 タイランスについたら、鳩を作りましょう。通信管も入りますね。これは小さな筒ですしすぐにできるでしょう。防水性だけはしっかりとしないといけませんが・・・



 タイランスまでの道中は特に何もなかったようです。ワイルドボアの在庫が何頭か増えているようですが、気にしたらいけません。ステーキが増えたと考えて終わりにしましょう。

 お店の整理はすぐに済みますので、まずは商業ギルドで王都に店を移動する旨を伝えてきましょう。お店も借りているものですし、返還の手続きも要りますしね。



 今、商業ギルドの個室にいるのですが、イザベラさんに泣きつかれています。なぜって・・・私のお店の売上が良いため、ギルドに収める額が多くなっているからです。おかげで、イザベラさんの成績がやたら伸びているそうです。もちろんタイランスの商業ギルドの業績もです。

 そんな私が、工場ごと王都に移動するというので泣きつかれているのです・・・工場の場所や人の手配など、かなりお世話になっているのも確かですからね・・・

 「メアリ、タイランスのお店を任せることはできる?」

 『はい、お嬢様のお言いつけでしたらしっかりと管理させてもらいます。』

 そうですか・・・できるのですね。伝書鳩も作れば王都にいる私とのやりとりも大丈夫でしょう。もう2、3人メイドを作ればタイランスの店に2人と家にもメイドを置くことができますね。

 「では、お店はこのまま残すことにします。冒険者用の装備などは、王都での作成になると思います。その他の物はこちらでも販売できると思います。それでどうですか?」

 「はい、ではそれでお願いします。」

 規模は小さくなるでしょうが、仕方ありませんね。タイランスにお店を残すことになってしまいましたね。そうすると、私がこっちにきた時に休めるようにしないといけませんね・・・お風呂の移設は取りやめですか・・・なんのために来たのかわからなくなりましたね。

 まぁ、いいでしょう。ガンテツさんにも挨拶しなければいけませんし、工房の方にも顔を出さないといけません。お店を残すのであれば、工房もこちらに置いておけばいいでしょう。王都の方は別に作りましょう。なんか規模がどんどん大きくなっていく気がします。別にファッションブランドを立ち上げる気はないんですけどね・・・



 「王都に店を持つんだってな。」

 情報が早いですね・・・ガン鉄さんのところに挨拶にきたらいきなりこれです。

 「ええ、成り行きですが・・・」

 「成り行きで店を出せるほど甘くはないんだがなぁ・・・」

 「まぁ、できてしまったものは仕方ありませんよ。」

 「こっちの店はどうするんだ?」

 「閉める予定だったんですけど、商業ギルドで泣きつかれました・・・」

 「そうだろうな。相当な稼ぎだったからな。」

 そうなんですか?冒険者用の装備を考えたら結構な額でしたが、Tシャツではそれほど稼いでないように思うのですが・・・

 「一応、この子に店を任せることにしました。」

 メアリのことを紹介しておきましょう。知っているとは思いますが、これからは店長としてやってもらいますしね。

 「その子も・・・」

 「ええ、そうですよ。でもそうは見えないでしょ?」

 「ああ、なんかあった時は頼ってくれていい。」

 頼もしいですね。ガンテツさんに頼れるというのはありがたいことです。

 「そうだ、後でガンテツさんのところに鳩を飛ばしますね。」

 「鳩?」

 「ええ、鳥に手紙を持たせて連絡を取れるようにしようと思うんです。」

 「ほう、面白いな。そんなことができるのか?」

 「まだやったことないですからわかりませんが、多分できると思いますよ。」

 後で伝書鳩を作りましょう。結構な数を作った方が良さそうですね。

 「それはどこにでも行けるのか?」

 「どうでしょうね、普通は行き先は大体1つですね。」

 「そうなのか・・・うちに1羽おいたらお嬢ちゃんと連絡が取れるのか?」

 「それは大丈夫だと思いますよ。」

 「うまくいきそうなら1羽もらえると助かる。最近お前さんの服の問い合わせが多くてな。」

 え・・・うちの問い合わせがガンテツさんのところにいってるんですか・・・

 「申し訳ないです・・・」

 「いや、それ自体は構わないんだが、連絡先がわからなかったからな。」

 なるほど、連絡さえ取れれば大丈夫ということですか・・・

 「わかりました。何度かテストをしてからになりますが、うまく行ったら1羽持ってきますね。」


 それでは店に戻って、鳩を作りましょうか・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る