106.王様とお話しするみたいです。
「ねえ、カオリ。お父様が1度会いたいって言ってるんだけどどうかな?」
はぁ~?アリスさん、あなたのお父様ってこの国の王様ですよね?断るって選択肢ってあるのでしょうか?いえ、無いでしょうね。「会いたい」と言っていますが。会いに来いとのことですね。面倒ごとです・・・
「会わなきゃダメ?」
「たぶん、ダメだと思いますよ。」
でしょうね~仕方ありません、会いましょう。
「わかりました。それでいつでしょうか?」
「えっとですね・・・」
歯切れ悪いですね・・・どうしたのですか。
「もう、扉の前まで来てるんです・・・」
「・・・・・・・・・・」
何も用意してませんよ。それに、もう来てるってどういうことですか。王様が来るってそれでいいのですか?フットワーク軽すぎでしょう・・・
「アリステレア、まだかのう。」
扉の外から声が聞こえます。王様ですね・・・
「私が会いに行かなくてよかったのですか?」
「ごめんなさい、お父様がどうしても会いに行くってきかなかったものだから・・・つい・・・」
ついじゃないでしょう。
「こんな格好ですがいいのですか?」
「ええ、公式の場ではありませんから・・・入ってもらっても大丈夫ですか?」
「えっと、もちろんです。」
急いで身なりを整えましょう。と言っても何もできることなどないのですが・・・
「アリステレアが世話になったと聞く。ここは父親として礼を言う。」
さすがに頭を下げることはしませんが、王様にお礼を言われてしまいました・・・
「いえ、私は王女殿下の依頼を受けただけでございます。」
「そうか、しかしこの件において、何か礼をしたい。何か望むものはあるか。」
こういう時って、欲しいものを言っちゃダメなんですよね。1度断って王様から何かを賜るって流れでしたっけ?よく覚えてません。
「王女殿下からもよくして頂いておりますので、特に望むものはございません。」
王様と話など緊張しますよ。アリスさん、王様の後ろにいるからと言って、口を押さえて笑いをこらえるのはどうかと思いますよ。
「お父様、カオリは商人なのですし、それにあったものを差し上げるのがよいかと思いますわ。」
「ふむ、では何がよいよ思うのだ?」
「カオリの店の看板に王家の紋章を入れる許可を差し上げるというのはいかがでしょう。」
「なるほど、確かに商人の後ろ盾として貴族が付くことがよくある。それを王家としてやれというわけだな。」
「ええ、カオリの作る服はとても良いものですから、王家が後ろ盾として付いてもよいと思いますの。」
アリスさん、何言ってくれてるんですか・・・後ろ盾はあれば楽でしょうが、王家が後ろ盾とかなんですか?無理でしょ。王様、難しい顔してますよ。
「国王陛下、私はそれほどのものを求めておりませんので・・・」
「ふむ、それはよい考えだ。では、そのほうの店の看板に王家の紋章を入れることを許可する。」
「謹んでお受けいたします。」
これでよかったでしょうか?ラノベとかマンガで見たことあるだけです。受け答えってこうでよかったでしょうか?
「わしはこれで失礼する。アリステレアと仲良くしてやってくれ。」
出て行きましたね・・・寿命が縮みましたよ。
「カオリが緊張して喋ってるなんて、見ててすごく面白かったわよ。」
酷い人ですね。王様と話すなんて緊張するでしょう・・・私はいたって普通の人なんですから。
「王女殿下も酷いですよ。王様の後ろで笑ってたでしょ。」
「ごめんなさい。でも、王族相手にあれだけ受け答え出来るってすごいと思うわ。」
「ま、まぁ、商人ですし、それなりには・・・」
嘘ですね、前世の記憶・・・主にラノベとマンガのおかげですよ。それもかなり間違ってると思いますしね・・・
「でも、王家が後ろ盾になるって良い思いつきでしょう。これで、カオリは何処行っても大手を振って商売出来るわ。」
まぁ、確かにこの国であれば何処行っても大丈夫でしょうね。販売に関してはラッセルさんに丸投げにしましょう。
「そうですね。これで仕事が忙しくなって、王女殿下に会いに来ることが出来なくなりそうです。」
少しだけ言い返しておきましょう。
「えっ・・・そ、それは困るわ。私が頼む依頼は最優先でお願いしたいの・・・ダメかしら?」
可愛い顔してお願いされてもダメですよ。さっき王様の後ろで笑いこらえてたでしょ。少しくらい意地悪も言いますよ。
「まぁ、王家の依頼ですから断れませんけどね。」
王様の訪問から約1週間。毎日7~8人のメイドさんを採寸していきました。一応、名前と年齢、役職があればそれも一緒に控えていきます。
比較的若い子が多いですね。そうでない人もいますが、総じてスタイルはいいです。
役職ごとに少しデザインを変えたり、目印になるものを入れてもいいでしょうから。
その間、1回だけ王様との会食がありましたが、王女殿下にお願いしてそれ1回こっきりにしてもらいました。さすがに胃が痛くなりそうでしたから・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます