103.女神様に会ったみたいです。
女神像の前でお祈りしてたんです・・・お祈りしてたはずなのです。でもここは、教会の中ではありませんね・・・
前も来たことがありますね・・・女神様が目の前にいます・・・また死んでしまったのでしょうか・・・
『お久しぶりですね。』
「わたし、また死んじゃったんですか?」
『ちがいますよ、私の像の前で祈ってくれたのでこうして話す時間を持てただけです。』
「像の前?教会に来ればこうして話せるの?」
『いつもではないけど会えますよ。』
会えるんですか・・・でも会って何するんでしょうか・・・
『全てではありませんが、あなたの疑問に答えてあげることは出来ますよ。』
「えっ、私の疑問ですか?」
『ええ、例えば・・・あなたの可愛い娘達が人間になるのではとか?』
「なるんですか?」
『いいえ、なりませんよ。彼女たちはあくまでも物です。ただし、限りなく人に近くはなります。それもあなた次第です。』
「限りなくですか・・・育て方次第と言うことですか?」
『その通りです。育て方を間違わないようにして下さい。』
間違うとどうなるのでしょう・・・聞いてみたい気もしますが、怖いですね・・・
『聞きたいですか?』
「えっ?」
『私にはあなたが思っていることは全てわかりますよ。』
「そうなんですね・・・でも聞くのはやめておきます。それよりも別のことが聞きたいです。」
『ええ、答えられることでしたら。』
異世界人のことを聞いておきましょう。いるのでしょうか・・・
『いますよ。今の時代には1人ですね。』
「思ったことはわかるんでしたね・・・1人いるのですね・・・」
『探すのもいいですし、会わないことを選んでもいいと思います。あなたの思うように生きて下さい。そろそろ時間のようです。』
あ、まだ聞きたいことが・・・
「教会ですね・・・」
『お母様、どうかされましたか?』
アヤハが隣にいます。どれだけこうしていたのでしょうか・・・
「アヤハ。私、寝てましたか?」
『いいえ、ほんのわずかの間目を閉じていただけです。』
そうですか・・・わずかな間ですか・・・まだまだ、聞きたいことはあります。また来ましょう。いつも会えるわけでは無いと言っていましたが、何度も足を運べばいいだけです。タイランスにもありますよね・・・教会・・・
スキルのことも聞きたかったのですよ・・・私の料理スキルがちっとも仕事をしない件について・・・前世では色々料理してたんです。趣味の範囲ですが、お菓子も作りましたし、ちゃんと自炊してたんです。こっちでぜんぜん役に立ってないじゃないですか・・・
まぁ、その分メアリが活躍してくれているからいいのですけど・・・もう、料理関係はメアリでいいです。私の料理スキルなんていいです。あてにしません・・・
異世界人がいるのですね・・・。もう、キクを作った人はいないのでしょうが・・・でも確実に1人いるのです・・・探すべきなのでしょうか・・・しばらくはこのままですね。
向こうが探しにくれば会えますし、私も気が向けば探せばいいのです。今の生活が気に入っているのですから、わざわざやっかいごとに首をつっこむ必要も無いですね。
一番の問題は、この子達をどう育てるのかですか・・・育て方を間違わないようにですか・・・どう間違えるといけないのでしょうか・・・わからないのでなんとも出来ないのですが、気にはなります。
人にはならないけど限りなく人に近くなるですか・・・今でも十分人っぽいですけどね・・・いえ、私にとっては同じですか・・・もう、娘だと認めてしまいましたしね。
「イロハ、良い子に育って下さいね。」
『はい。イロハは何時でも良い子ですよ。母様の言うことはちゃんとききます。』
「じゃあ、もう危ないことはしないで下さいね。」
『あぅっ・・・。・・・・・・・・・・』
言葉に詰まりましたね・・・また何かやるつもりでしたね。
「アヤハ、イロハが危ないことをしないようにちゃんと見ててくださいね。」
『はい、お母様。』
うん、アヤハが見ててくれるのなら大丈夫でしょう。大丈夫ですよね?
「コトハは危ないことなんてしないわよね。」
『うん、かぁさんに心配なんかかけないから大丈夫。』
うんうん、コトハは良い子ですね。
メアリももちろん良い子です。こうしてみると私はかなり幸せですね。確かにこの子達は人形なのかもしれませんが、人と同じように考え、同じように行動してくれます。
私にとってそれは嬉しいことなのです・・・そうですね、この気持ちを忘れずに育てていけば間違いなんて起こるはずがありません。今はそれでいいです。いいえ、今はではないですね。これからもずっとです。
さて、明日は王都に向けて出発です。
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