095.ありえない値段みたいです。
今日もお店は人で賑わっています・・・
なんて言える日は来るのでしょうか?工房の方はそれなりにお客さんがいるみたいなのですが、こちらは1日1人か2人お客さんが来ればいい方ですね。しかもオーダーが入るのは冒険者用ばかり。最近は傾向がわかってきたのもあって、セミオーダー的なものもやり始めたのでお渡しまでが早くなりました。
もちろんフルオーダーは時間貰いますけど・・・
「はぁ~、そろそろ王女殿下が来ますかねぇ・・・」
『かぁさん、王女殿下ってこのあいだ来てた人?』
あっ、口にでてましたか・・・
「ええ、そうよ。」
『だったら、毎日近くまで来てるよ。今日もそこで行ったり来たりしてるし。』
毎日近くまで来てたんですか?うちの様子をうかがってたという事でしょうか・・・怖いですね・・・でも、そこまで待ち遠しかったのでしょうか・・・仕方ありません。
「コトハ、王女殿下をお呼びしてくれる。出来上がりましたって。」
『うん、かぁさん。いってくるね。』
「カオリさん!出来上がったのですか。」
えらく喜んで入ってきましたね・・・
「ええ、でも毎日お店のまわりでうろうろしてたんですか?」
「うっ・・・それは・・・」
言い淀んでいますね。後ろのメイドさんが頭を下げてきます。やっぱり毎日いたんですね・・・仕方ない人です。
「終わったことですし、構いませんよ。でもこれからはやめて下さいね。」
王女殿下を奥の応接室に案内して、マジックバックから装備を取り出すふりをして、空間収納から取り出します。取り出した装備を、1着ずつマネキンに着せてゆきます。
「こちらがお渡しする商品となります。」
「こ、これが・・・」
「このままお渡しでも構いませんが、1度着てみて細かいサイズを合わせましょうか。」
よほどサイズが狂っていることはないはずですが、万が一と言うこともあります。着てもらった方が無難です。
「そうですね、では着させて貰います。」
メイドさんが付き添っていきますね。王女殿下が一番最初ですか。
「どうですか、きついとことかありましたら言ってください。」
「大丈夫みたいです。それにしても綺麗な赤ですね。それにこのズボン、スカートみたいですね。」
「それはキュロットスカートと言うんですよ。私がいたところでは珍しくもなかったんですよ。」
「キュロットスカートですか、動きやすくてとても良いです。」
たわいもない話をしているうちに、メイドさん達も着替えて戻ってきたようです。こうして5人そろうと壮観ですね。5色にすればよかったかしら・・・いえいえ、王女殿下に戦隊物はさせられません・・・
「みなさん、とてもよくお似合いですよ。」
なんか、アパレル店員みたいな事言ってますね。メイドさんの1人が王女殿下に何か耳打ちしてますね。王女殿下の顔がみるみる青ざめていきますが、何かあったのでしょうか。
「カオリさん、ちょっとよろしいですか。」
「はい。なんでしょうか?」
「うちの者がこちらを鑑定させて貰ったところ、かなりよい素材が使われていると聞きました。金額に関しては特にお話しはさせて頂いていなかったのですが、おいくらくらいになるのですか。」
ああ、そのことですか。金額を決めてませんでしたね。
「いくらにしましょうか?」
「それなりの額は用意させていただいています。しかし侍女の話では到底足りないと・・・」
「いくらくらいまでなら出せるのですか?」
いったいいくら用意してるのでしょうか。到底足りないなんて、メイドさんの分は1着5万位、王女殿下のは10万位で良いと思っているのですが・・・
「100万までは用意させて貰ってます。しかしそれ以上は・・・」
どういった計算だと、100万で足りなくなるのでしょうか・・・また、私が間違っているのですか?
「これを鑑定されたと言われましたが、いくらぐらいに思われたのですか?」
後ろのメイドさんに聞いてみましょう。
「はい、私が鑑定させていただきました。私たちが付けている物が1着20万、王女殿下の物においては値段が付けられない物かと。」
「値段が付けられない?」
「はい。あまりに希少な素材が使われており、効果に関しても破格すぎて・・・」
なるほど、確かに王女殿下の物は少しばかり特殊ですが・・・
私的には全部で30万でいいのですが、聞く限りでは相当高価に見られているようです。
「王女殿下、条件はありますが5着で50万にしますがいかがですか?」
「カオリさん、その条件というのを聞かせて貰ってもよろしいかしら。」
ここで猫耳の出番ですよ。猫耳つけて写真撮らせて貰えれば十分です。
「その装備とセットで作ったアクセサリーがあるのですが、それを付けて貰って写真を撮らせて欲しいのです。」
「写真ですか?」
「はい。うちの店の宣伝用です。お客さんにこんな感じで出来上がりますって。そのほうがお客さんも解りやすいでしょうから。」
「なるほど。確かに理にかなってますね。それだけでいいのですか?」
不思議そうな顔をしてますね。写真を取らせてもらうだけでいいなんて、なかなか思いませんからね。
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