088.ワイバーンも珍しいみたいです。
それにしてもドラゴンの素材ですか・・・どうしましょう・・・アヤハの話ではここ数百年は目撃されていないめずらしい竜です。なんて言ってましたが、それって表に出したらまずいやつじゃないですか・・・
そこそこ討伐されているワイバーンなら大丈夫でしょうか・・・といっても、年に1、2匹程度という話です。それをあなたたちは何匹狩ってくるんですか・・・3匹ありましたよ。それにオークとワイルドボアですか・・・オークは非常に美味しいらしいです。ステーキにすると絶品だとか・・・ワイルドボアの比ではないと聞きました。メアリに任せておけば美味しく料理されるでしょうから、渡しておきましょう。
しばらくはワイルドボアの素材と、ワイバーンの素材でしょうか・・・でもワイバーンの素材っていくら位なのでしょうか・・・ガンテツさんに聞くしかないですね。さすがに冒険者ギルドに価格を聞きに行くほど私もバカではありません。ガンテツさんならワイバーンの翼でも渡しておけばきっと黙っていてくれるでしょう。
王女様が来ているってことですし、早めにガンテツさんの所に行きましょう。もし、ワイバーンの素材を使った装備を作るとしたら、いくらくらいになるかだけでも聞いておきたいものです。
「ガンテツさん、いますか~」
「おぅ、嬢ちゃんか。久しぶりだな。なかなか儲けてるって話じゃないか。」
そうでしょうね、端から見れば儲かっているように見えますよね。
「それほどでもないんですよ。私が冒険者用の装備作ってなかったら赤字ですよ。」
「俺から見れば、そっちの方が本業だと思うがな。で、今日はなんのようだ。」
「ちょっと聞きたいことがあって・・・」
「なんだ、またやっかいごとか?」
あ、なんとなくわかるんですね。そうですよ。やっかいごとです。ワイバーンを3匹も倒してきた娘がいるのでちょっと大変なのです。
「実はですね、ワイバーンの素材っていくら位なのかなと思いまして・・・」
ガンテツさんの頬がピクッと動きましたよ。
「嬢ちゃん、まさかとは思うが持ってるのか?」
ガンテツさんがそんな言い方をするって事はあまり出回らないのですか?
「えっとですね・・・」
「持ってるんだな。」
「はい、持ってます・・・」
ガンテツさんに嘘を言っても始まりません。この人とはよい関係を続けたいですし。ある意味理解者ですからね。
「なぁ、少し分けて貰うわけにはいかんか?もちろん対価は払う。」
「別に素材を渡すくらいはいいですよ。それより私はその価値が知りたいんですよ。」
「嬢ちゃん、軽く素材を渡すくらいはいいなんて言うなよ。結構めずらしい素材なんだぞ。」
「そんなにめずらしいんですか?」
「ああ、討伐されても依頼主は国だったりするからな。素材は全部国が持って行くのさ。だから一般にはあまり出回らないんだよ。たまに、冒険者側に手に入る時もあるがな。」
そこまでですか・・・ガンテツさんくらいの人のところにもあまり回ってこないのですか・・・
「それで、いくら位するんです?」
「正直値段があってないようなものだな。素材を売るような冒険者はいないからな。持っていれば全部持ち込みで自分の装備作るさ。」
「なるほど、市場に流通しないので値段が付けられないと言うことですか。」
「そんなところだ。」
「なら、ガンテツさんは私からいくらで買い取るつもりなんですか?」
「どの位持ってるんだ?どの部位を譲ってくれるかでも金額は変わるからな。」
そうですね、ガンテツさんにならまるごと1匹あげてもいいんですけど・・・
「このくらいありますよ。」
指を3本立てます。
「・・・・・・・・・・」
なんでしょうか、この嫌な間は・・・
「嬢ちゃん、鱗3枚って事じゃないよな・・・」
「ええ、違いますよ・・・」
「3匹か?30とか言わないよな・・・」
さすがにそんなに持ってませんよ。イロハに言えばきっと狩りに行くのでしょうね。絶対行かせませんけれど。
「3匹です。さすがに30匹なんてありえませんよ。」
「嬢ちゃんだと、あながち冗談と言い切れないところが怖いんだが・・・」
「なんなら1匹置いていきましょうか?」
「バカ言え、そんな金ねえよ!」
「では、どの部位をどの位買います?」
色々話し合いをした結果、爪と牙、鱗を何枚か売りました。鱗と爪が金貨5万枚、牙は金貨8万枚で売りましたよ。
この価格が私とガンテツさんでの適正価格というわけです。今後はこの価格をベースに販売すればいいですね。
ガンテツさんには足りなくなったら言ってくれれば、また売ると話をしておきました。ガンテツさんの所でもワイバーンの装備を売って貰えば、私の所でも売りやすくなるじゃないですか。
さすがに、ドラゴンの話はしませんでしたよ。ワイバーンであの反応では話せるはずないじゃないですか。
店の外に出ると、コトハがいますね。今日は誰も連れてきていなかったはずですが。
『かぁさん、お話し終わった?』
「ええ、終わりましたよ。それで、コトハは何をしに来たの?」
コトハが1人で出かけてくるなんてめずらしいですね。
『かぁさん・・・怒ってる?』
「なんで、お母さんが怒ってると思うの?」
『ちぃねえさまのことで・・・』
ああ、イロハのことで私が怒ってると思っているのですね。
「そうね、ちょっと怒ってますよ。お母さんにいっぱい心配かけるようなことをしたからね。」
『コトハね、かぁさんに心配かけるようなことしないから・・・』
ああ、自分も怒られるんじゃないかと思っちゃったんですね。
「良い子にしていれば、怒ったりしないから大丈夫よ。」
やさしく頭を撫でてあげましょう。その後は、もう怒っていないから大丈夫だよと話しながらお店まで帰りました。もちろんコトハと手をつないでですよ。
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