086.お説教だったみたいです。
タイランスに到着しましたが、当初の予定より3日は遅くなりましたね。母様は怒っているでしょうか・・・コトハにも1週間ほどで帰ると言ってきましたから、母様もその位で帰ってくると思っているでしょう。
姉様の言うとおり心配をかけたのでしょうね・・・しっかり謝らないといけません。
王女様達とは街の入り口で別れました。宿を取らなければいけないことと、冒険者ギルドに今回私たちに使命依頼を入れたこと、そしてそれが完了したことを連絡しておいてくれるとのことです。私たちは後で冒険者ギルドに行けばよいことになっています。
最初になんて声をかければいいのでしょうか・・・『ただいま』、『ごめんなさい』なんて声をかければいいか解りません・・・
『姉様・・・母様になんて声をかければいいのかな・・・』
『普通にただいまでいいと思うわよ。』
姉様はあっさりしていますね・・・怒られることがわかっている私とは違うのでしょう・・・気が重いです・・・
扉を開けて中に入りましょう・・・
『母様・・・ただいま・・・』
「アヤハ、イロハ、遅かったのですね・・・コトハは1週間と言ってましたが・・・」
やっぱり怒っていますね・・・いつものやさしい目じゃないです・・・
『えっと・・・えっとね、母様。』
上手く説明出来ません・・・姉様に助けを求めましょう。
『姉様・・・』
あ、わかってくれたみたいです。頷いてくれました。姉様お願いします。
『お母様、遅くなってごめんなさい。帰りがけに王女殿下に護衛を依頼され遅くなりました。』
「えっ、王女殿下?王女殿下って王様の娘?」
『はい、その王女殿下です。それで予定より遅くなってしまったんです。お母様に、心配かけないようにとも思ったのですが、お母様ならきっと依頼を受けたのではと思って・・・』
「そうだったのね。ちゃんと護衛は出来た?」
『はい、しっかりとこの町まで護衛をしてきました。後日この店に来るといっていました。』
「えっ・・・この店に?」
やっぱり嫌そうな顔してますね。きっと母様はやっかいごとができたと思ってるんでしょうね。私たちが持ち込んだのでしょうか・・・ほっておいてもここに来たのでしょうね・・・いえ、ほっておいたらあそこでオークに殺されてしまったでしょうから、やっかいごとにはならなかったのでしょうか・・・
『母様・・・あのね・・・魔物と戦っていて・・・その・・・』
姉様助けて・・・目で合図を送ります。
『お母様、イロハが怪我をしてしまったんです。』
母様があわててこちらに来ます。
「イロハ、何処を怪我したの・・・早くお母さんに見せて・・・」
『左手が上手く動かないんです。』
左手を見せます。少し焦げていますがそれだけです。
「イロハ、すぐ直してあげるからね。」
奥の部屋に連れて行かれます。母様が私の手を何度も何度も撫でてくれます。大切な古龍の素材を用意して、リペアをかけてくれます。左手が固定されてしばらく動かせないようです。
「イロハ、2時間くらい動かせないからね。そこでゆっくり座ってなさい。」
母様が凄く優しくしてくれます。私のことを抱きしめて何度も頭を撫でてくれます。
『母様、もう一つあるの・・・母様に貰ったリボンが焼けてしまったの・・・ごめんなさい。』
「リボンなんていいから。そんなのいくらでも買ってあげる。それよりイロハが無事でよかったわ。」
母様が泣いてます。やっぱり私が悪いことをしたんですね。母様に心配をかけてしまったんですね。
『母様・・・心配かけてごめんなさい・・・』
「ホントに・・・グスッ・・・もう心配かけちゃダメだからね・・・」
泣きながら抱きしめてくれます。抱きしめてもらえるのは嬉しいけど、もう2度と心配はかけたくありません・・・泣いている母様は見たくないですから・・・
『ごめんなさい・・・母様・・・』
2時間ほどして私の手が元通りになるまでずっと母様は私を抱いていてくれました。泣きながら、何度も「心配かけちゃダメ」とか「ちゃんと言うこと聞きなさい」とか言われました。私の手が治ったのを確認すると、姉様と2人正座をさせられて、1時間ほどお説教をうけました。やっぱり怒られはするのですね・・・心配かけて母様を泣かせてしまったのでしっかりとお説教を聞きます。最後に姉様と2人で『ごめんなさい』と謝ってそれで許して貰いました。
お説教を受けた後、姉様とドラゴンを狩ってきたこと報告しました。きっと喜んでくれると思っていたのですが・・・危ないことはしないようにとお説教を追加されました・・・
「危ないことはしちゃダメだからね。それでもお母さんのために、素材を持ってきてくれたのね。ありがとう。」
ちゃんと褒めてももらえました。
『母様、また素材になる魔物狩ってくるね。』
私だけ、さらにお説教の追加がありました。なぜでしょうか・・・母様のためにと思ったのですが・・・わかりません。姉様は隣で溜息をついていましたから、きっと理由を知っているのでしょう。後で聞きましょう。
私と姉様の冒険はこれで終わりました。次はいつでしょうか・・・
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