042.時計を作ったみたいです。

 3人の希望を聞いたところ、3人共がお留守番を拒否という事態に陥ったため今日は宿に1日中いる事になります。

 まぁ、前世でもインドア派だった私にはあまり苦にならないけど・・・決して引きこもりだったわけではないです。引きこもりでは無かったと思います・・・

 そんな訳で私の目の前には刀が入った繭があるのですが、動かす事が出来ないというのはものすごいデメリットですね。その代わりに材料があまり必要ないという最高のメリットがあるのですが・・・

 あと1/3と言った所でしょうか、昨日の夕方から始めましたからそろそろ12時間は経っているはずですが・・・

 時計を作るべきでしょうか・・・時間が分からないというのは不便に感じてきました。今日は1日宿屋にいるのですし、作ってしまいますか。持ち運びが出来ないと困りますね。腕時計か懐中時計でしょうか?腕時計は目立ちそうですね・・・懐中時計にしましょう。

 材料は基本・・・鉄とガラスがあればいいでしょうか?デジタルにするわけでないので特別なものはいらないでしょう。水晶発振?よく分からないのでネジ巻きでいいです。鎖と本体位は贅沢に銀製でもいいでしょうか?燻し銀がいいですね、ピカピカは目立ちすぎる気がします。

 ポーションの瓶があるのでガラスは確保ですし鉄もあります。銀はありませんが、魔力補填ですね。後は何が足りないか知りませんが適当にですね。大きさは手のひらに収まる位、文字盤はこちらの文字を使いましょう。どうせ読めますから。ではクリエイトしましょう。

 おお、小さな繭が出来ましたね。それこそ両手で持てる位の可愛い繭ですよ。時間は1時間程しか掛からないのですね。小さいし、ほぼ材料がそろっていたからでしょう。

 時間あわせはお昼の鐘で合わせましょう。ずれがどの程度か分かりませんが、まぁだいたいの時間が分かればいいのですから気にしません。1日で1時間とかずれると考え物ですが・・・


 やっぱり1時間は早いですね。もう出来上がりましたよ。いい感じに出来てますね。これを胸元のポケットに・・・私の服、胸元にポケットなんて無いじゃないですか・・・スーツとかじゃ無いんですからあるはずないですよね・・・胸の下辺りにポケットを作りましょう・・・リペアで出来るでしょう・・・幸い布もありますし・・・とんだ誤算でした・・・

 ポケットの方は簡単にできました。裁縫が苦手の私にとって服のリペアは偉大ですね。針も糸も使わず服が直せるんですから。銀時計をもケットに仕舞います。いい感じですね。これでいつでも時間が分かりますよ。

 「アヤハ、イロハと2人で昼食を頼みにいってきてもらえる?」

 そろそろお腹がすいてきましたよ。

 『はい、お母様。行ってきますね。』

 アヤハがイロハと2人で降りてゆきますね。私は時計のゼンマイでも巻きながら待ちましょうか。おや、私の手が空いたと分かったらコトハが甘えてきましたね。一応私が忙しそうにしてたりすると我慢してるのでしょうか?可愛いので頭を撫でてあげましょう。

 『かぁさん、コトハも時計が欲しいな・・・』

 おねだりですか。ささやかなおねだりですが、まだ動くかどうかもよく分からないので今はダメですね。

 「何日か動かしてみてからね。お母さんが試してから作ってあげるわ。」

 作ってあげると約束しました。アヤハ達が居なくなった所でおねだりしてくるのは狙ってしているのでしょうか?

 正午の鐘が鳴り始めましたね。時間を合わせましょう。これでしばらくの間鐘が鳴るごとに時計を見て時間を確認しましょう。

 そうこうしているうちに、アヤハ達が戻ってきましたね。お昼ご飯をもらってきたようです。みんなで食べましょう。

 アヤハ達にも極力食べるように言ってあります。他人が見ていない所であれば食べる必要も無いのですが、私が1人で食べるのが寂しいというのが大きいですね。3人は黙々と食べていますが、だんだん感情のようなものが育ってきていますし、そのうちわいわいと賑やかな食卓になると信じています。そうなってくれると嬉しいですね。


 お昼を食べ終わった頃にようやく繭が煙になってきましたね。中にはしっかりと刀が修復されていますね。

 「これは・・・業物ですね・・・」

 ごめんなさい、言ってみたかっただけです。刀の善し悪しなど全く分かりません。そもそも本物の刀なんて初めて見ますし。これが本物の刀かと言われれば疑問がありますが・・・

 これが女の子になるんですよね・・・う~ん・・・興味が無いかと問われれば興味はあるんですよね。私以外の人が作ったもの。まずは修復も終わった事ですし改めて鑑定をかけましょう。

 特にかわった所は無いようですが、コマンドワードは名前ですか。菊一文字則宗と言う事ですね。女の子になるのに可愛くない名前ですね・・・

 「菊一文字則宗」

 女の子が出てくるように意思を込めながら呼んでみます。

 刀が光に変わるとそこに小柄な女の子が立っていますね。やっぱり新撰組の羽織は着てるんですね・・・ミニスカートに白のニーハイですか・・・趣味がうかがえますね・・・いえ、悪いとは言っていませんよ。可愛いと思いますし。

 キョロキョロしていますね。誰かを探している様子です。

 『あの・・・マスターはどこなのです?』

 マスター?この子を作った人の事でしょうか?何にしても色々聞かないといけないようですね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る