023.毒は効かないみたいです。

 宿の裏手に回ります。ここなら誰も見ていませんね。コトハを出してあげましょう。

 『かぁさん。』

 抱きついてきますね。空間収納の中に入れてしまったのですからね。いっぱい甘えて良いですよ。

 雨ももうほとんど降ってないようなのでこのままギルドの方に向かいながら何か美味しいものでも食べましょう。


 先日の串焼きも良いのですが何か他の物はないでしょうか?そういえば肉料理はかなりありますが魚料理は見ていないですね。海が遠いのでしょうか?でも川魚もありますよね?どうしてでしょうか・・・ここに無くても商業都市まで行けばあるでしょう。ゆっくり探しますか。

しばらく歩いていると、ハンバーガーのような物が売ってます。今日はこれにしましょうか。4コもらいましょう。銀貨2枚ですか・・・少し高めですね。パンが特殊なのですか?そういえば硬いパンだけだったのですがこれは柔らかいですね。なるほど納得です。4コで銀貨2枚ですか・・・良いかもしれません。4人で食べ歩きましょう。行儀は悪いかもしれませんが、この世界では普通なようなので気にしません。

 近くの屋台で果実水が売ってますね。レモン水ですか。これも買いましょう。喉が渇きますからね。え、コップは別売り?自前で持っているのが普通ですか・・・そう言われれば私たちも持ってますね。自前のコップを渡し注いでもらいます。4人分で大銅貨1枚ですか。お手頃価格ですね。


 さて、ギルドに到着です。アリスさんは・・・先に私たちを見つけたようですね。別室を指さしてます。またあっちに行けと言うことですね。

 「アリスさん、お久しぶりです。」

と言っても昨日あってないだけですか。何か怒ってますね、私何かしましたか?

 「カオリさん、スワニーの情報を聞いていったと聞きましたがまさか取りに行こうとか考えてませんよね?」

 あの受付の子から聞いたのでしょうか・・・少し口が軽いのでは無いでしょうか?これってある意味冒険者の個人情報では無いでしょうか?

 「そんなことより、今日も登録をお願いしに来たんですよ。」

 話をそらしてしまいましょう。何か言われてもこっそり行きますけどね。ふかふかお布団は何より優先されます。

 「登録はさせてもらいますから安心してください。それよりスワニーです。あれはすごく凶暴な魔物です。熟練の冒険者がパーティを組んで狩りに行くものですよ。」

 そんなに強いんですか・・・それはまずいですね。娘達が怪我などしたら大変です。

 「そんなに強いんですか?」

 「やっぱり行く気だったんですね。」

 アリスさん、目が怖いですよ・・・でもお布団欲しいんですよ・・・

 「でもなんでスワニーなんか狩ろうと思ったんですか?」

 登録の準備を進めながらそんなことを聞いてきますね。

 「スワニーの羽毛が欲しかったんですよ。高級布団に使われるんですよね?」

 「まぁ、そうですね。スワニーの羽毛はとても柔らかで貴族が使う布団に使われるそうです。でもスワニーは危険なのでおすすめしません。」

 「何がそんなに危険なのですか?ただ危険だけじゃ解りませんし、納得も出来ませんよ?」

 「強力な毒を使うのですよ。そのせいで近寄れませんし、遠距離からの攻撃は風魔法を使うせいで矢などは弾かれてしまうんです。ですから熟練の冒険者パーティが毒耐性の装備を持ってなんとか討伐するのですよ。」

 なるほど、接近戦をすると毒を使い、遠距離から狙うと風魔法で防御ですか。嫌な魔物ですね。でも、うちの娘達は息をしませんから毒は大丈夫でしょう。

 「なるほど、理解しました。では気をつけることにしますね。」

 「カオリさん、気をつけるってここまで言ってまだ行くつもりなんですか?それは冒険者は自己責任ではありますけどそういった自殺志願のような事はギルドとしても見過ごせませんよ。」

 自殺志願とかひどいことを言いますね。一応アヤハに聞いてみますか?

 「アヤハ達は毒とかってどうなんですか?やっぱり効きますか?」

 『はい、龍の鱗を溶かせるような毒だとちょっとまずいかもしれませんが、それ以外でしたら問題ありません。』

 「そうですか。安心しました。アヤハ達が毒でどうかなってしまうのなら止めようかと思いましたが大丈夫そうです。」

 アリスさんが頭抱えてますね。どうしたんでしょう?何か困ったことでもあるのでしょうか?

 「はぁ~・・・そうですね、カオリさんですから仕方ないですね・・・そちらの子の冒険者登録をしましょうか・・・」

 その全てを諦めたような溜息は何ですか、私が原因だとでも言いたげなそれは何でしょうか・・・そのカオリさんですからって・・・言いたいことは山ほどありますが、コトハの登録を優先させましょう。


 そのあとコトハのこともアリスさんに紹介をして無事登録を済ませました。

 スワニーのことは危なそうならすぐに帰ってくるようにと釘を刺されたあと、余った素材があればギルドで高価買い取りするので持ち込んで欲しいとも言われました。希少素材でもあるのですね。


 さて、ギルドの用事も済みましたし明日は晴れたらスワニー狩りです。

 「みんな、明日は朝早くに町を出発しますからね。特に明日はイロハに頑張ってもらう事になりそうなのでお願いしますよ。」

 『はい、母様。任せてください。』

 「前も言ったとおり素材はあまり傷を付けないようにして下さいね。でもイロハの安全が一番ですよ。危ないと思ったら無理しないで戻ってくるんですよ。」

 『はい、ちゃんと仕留めて戻ってきますね。』

 いや、危なかったら逃げてくるんですよと言いたかったのですが・・・なぜ仕留めて帰ってくることになってるんですか。

 『イロハ、お母様が心配しているでしょ』

 うん、アヤハはわかってくれるのですね。やはりお姉さんなだけありますね。

 『スワニーも例外なく首を落とせば大丈夫です。お母様に心配かけないよう一発で首を落としなさい。』

 『はい、姉様。母様に心配かけないよう一発で仕留めますね。』

 ねえ、あなたたち何の話をしているのですか?首を落とせば大丈夫とか、一発で首を落としなさいとか、物騒な話をしてますね。

 『ちぃねえさま、頑張って下さいね。』

 ちぃねえさま?ああ、イロハのことですか。小さい姉様でちぃねえさまですか。可愛い言い方しますね。イロハが照れてますね。小声で「ちぃねえさま」、「ちぃねえさま」と、つぶやいてますね。気に入ったのでしょうか。


 あまり深く考えても仕方ありません、明日は危なそうであれば強引に呼び戻しましょう。私が戻るように言えば戻ってくるでしょう。準備する物は・・・特にありませんが、念の為食料を多めに持っておきましょうか。最悪食べなければいけないのは私だけですから。帰りに先ほどのハンバーガーを4個買って帰りましょう。水は自前で出せるのでとりあえずは良いですね。こうしてみると、食料さえ多めに持っていればなんとか生き延びることが出来そうですね。食料は空間収納にどれだけでも入れることが出来ますしね。


 さて、明日はふかふかお布団ゲットですよー。

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