ドールズ ~ドールマスターとなった少女は異世界で娘達と旅をする~

睦月薫

001.転生しちゃったみたいです。

 私の名前は鈴木香織。28才独身、OLをしていました。なぜ過去形かって?どうやら私は死んでしまったようなんです。


 今、とても広く真っ白なところにいます。よくわからない?はい、私もわかりません・・・目の前には大きなテーブルこれも真っ白、そして白いドレスを着た綺麗な女の人。テーブルには紅茶?が置かれている。

 どうやらこの女の人は女神様だとのこと、神様とか信じてないのであまりピンとは来ないけどなんとなく本当の気がします。なんとなくではあるけど・・・

 女神様の話によると私は死んでしまったらしい。死因を聞いてみたら、『あまりおすすめしないけどそれでも聞く?』などと言われたので聞くのをやめた。きっとろくでもない死に方をしたのだろう。


 なんでも、私が特定の条件を満たしたため特別に生き返らせてくれるとの話だ。どんな条件を満たしたのかは知らないが生き返らせてくれるというのだから良い話なのだと思う。

ただし、今までいた世界で生き返ることは出来なくて、この女神様の管理する別の世界でなら生き返らせることが出来るのだとか。いわゆる異世界転生というやつだろうか?


 『理解してもらえたかしら?もしあなたが了承してくださるのなら新しい世界で生きてゆくための力を差し上げるのだけれども。』

 「まぁ、それでいいです。」

 これで理解できないといったらこのまま死んでしまうのだろうなと思いながら承諾の意を伝える。それでももらえるものはしっかりもらっておかないと後で後悔することになりそうですね・・・

 『ではこれからあなたが行く世界のことを少し教えるわね。』

 簡単に言うとこんな感じだ。

 これから行く世界は地球でいうところの中世くらいの文化レベルであること。

 魔物がいて人を襲ったりすることもある危険なところだということ。

 魔法が存在するということ。


 「結構あぶないところなんですね・・・なんかまたすぐ死んじゃいそうなんですけど・・・」

 『そうならないように必要な力と私の加護を差し上げるつもりですよ。』

 「加護・・・ですか。なんか御利益とかあるんですか?」

 加護ってピンからキリまでありますよね。どのくらい役に立つかが問題ですよ。

 『そうですね、病気にかかりにくくなる、怪我をしにくくなる。もし病気や怪我を負ったとしても治るのが早いといったところでしょうか。』

 「地味だけどそれって重要ですね。ありがたく頂きます。」

 中世くらいの文化レベルでは病院とかたいした物は期待できませんからその加護は必要ですね。

 『あとはあなたが望む力ですね。これからどのように生きていきたいかで選ぶといいと思いますよ。』

 「力ですか・・・」

 力と言われてもよくわかりませんね、なんとなく腕力とかを想像してしまうのは私の想像力が貧困なせいですか?

 『力、能力といった方が理解しやすいでしょうか。なにをするのに秀でているかといったところでしょうか。それがあなたが生きていくための助けになれば幸いです。』

 「秀でている物ですか。趣味の人形を作って一緒に暮らしていければと思うのですがそんな物でもいいのでしょうか?」

 『人形を作る能力ですか?』

 「はい、自分の理想の人形を作りたいと思います。そのための力が欲しいです。」

 かわいらしい人形を私と同じくらいの背丈で作って一緒に暮らすの・・・とっても素敵な考えだと思う。魔法もあるって話だしちゃんと動く人形とかも作れるかも、それどころか一緒におしゃべりなんかも出来たりして・・・あぁ・・・夢が膨らむわね。

 『そういった能力というのはないのですが、いいでしょう。新たにそういった能力を作りましょう。それでいいでしょうか?』

 「はい、それからその人形達が使う服や小物なんかも作る事が出来ると嬉しいかな?」

 『わかりました。衣服、装飾品、持ち物などを作るための能力も合わせて差し上げましょう。ただし、ある程度の材料は必要になってきますからね。』

 「魔法でパパッと作るわけではないんですね・・・やっぱり材料はいるのか・・・」

 『何もないところから作り出すのは無理がありますが、魔力で足りない素材を補うことは出来ます。そうですね、必要な素材のうち30%位は集めてもらわないといけないでしょう。』

 「わかりました、頑張って素材は集めます。でも、最初の1人だけはサービスで魔法を使ってちゃかちゃかって作れるようになったりしません?」

 『そうですね、では1回だけ魔力で作り出せるようにしましょう。』

 「あと、素材の持ち運びが大変そうなのでアイテムボックスとかってもらえたりしますか?」

 『空間収納のことでしょうか。それでしたら転生特典の中に入ってますよ。あと言語ですか。読み書きが出来ないと大変でしょうから。』

 「そうですか・・・転生特典ですか・・・」

 あまり深く考えるのはよしましょう、つっこんだら負けというやつですね。もらえるものはもらう、それでいいということにしましょう。

 『それでは新しい世界に送りますが準備はよろしいですか?』

 「あっ、ちょっと待って。私はこの姿のままその世界に行くことになるの?」

 そっちの世界の平均年齢ってどうなの?それに、適齢期とか・・・一生独身とか勘弁して欲しいんだけど・・・まぁ、すぐにって訳でもないんだけど・・・転生したら即行き遅れって嫌でしょうに。

 『特に希望がなければそのまま送るつもりでしたが、何か希望がありますか?』

 「私の一応女性ですので・・・その、適齢期とか・・・色々・・・」

 『なるほど、わかりましたあちらの世界でいう成人の年齢でいかがでしょう?』

 「成人というと何歳くらいになるのですか?」

 『生物学的にあなた方と変わりない種族で年齢が15才になりますね。』

 「では、それでお願いします。」

 『それでは新しい世界へ送ります。良い人生を歩んでくださいね。』



 こうして私は異世界で新しい人生を歩み始めることとなるのだった。

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