もしもビリビリペンが窮地を救うなら……
@isa00
第1話 自己紹介。
―やぁ。私はビリビリペン。
名前は無いのかって?
そんなものはいらない。人々はビリビリペンと言えば、私のことをすぐに思い浮かべるからね。マックだケンタだと何でもかんでも略されるのも癪に障るし、第一「ビリビリペン」以外にふさわしい名前があると言うのかい? ないだろう?
どうだい、私のボディは?
黒光りした自慢のボディさ。
ん? 家にときたま出る、人々を恐怖のどん底に陥れる、すばしっこいアイツを連想させるって?
ふんっ、失礼極まりないぞ君は! 確かに色ツヤはあいつと似ているかもしれないが、あいつよりは俺の方が強いんだ!
……失礼。取り乱してすまない。
君は私と他のペン、比べてみて違いに気づかないかい?
分からない? ヒントは外見だ。さぁ、どうかな?
黒光りしていて、少し気持ちが悪い……?
君、私が何者なのか忘れているのかね?
この機能を意図的に使うことは今まで避けてきたが、こうなったらしょうがない。
本当に分からないのかい?
答えは、太さだ。他のより太いだろ?
なぁ~んだ、そんなことかぁ……って顔をするんじゃない! この太さは大事なのだ!
この太さには理由があってな、中に強力な電気を発生させる装置が詰まっているんだ。装置には代々受け継がれてきたノウハウが詰め込まれていて、意識を失わない程度に、かつ、芸人やタレントがリアクションを取りやすい、絶妙な塩梅の電力を発生させる装置なのさ。
ここだけの話だが、このよい塩梅の電力にするために技術者が何年力を注ぎこんで来たと思うか? ……六年だ……。
またそんな顔をするなんて。君、失礼だぞ。
考えて見ろ。この一本のビリビリペンに、何人もの技術者が力を合わせ、汗水垂らし、有限な時間と体力を、六年もつぎ込んだんだぞ? 小学一年生の初々しかった子が、六年経てば、恋だ、勉強だ、運動だと騒ぎ立てる人間になってしまうんだぞ!? その月日の尊さを思い出して見なさい!
……コホッ。失礼。私としたことが。
自己紹介は以上だ。ご清聴、ありがとう。次は君が自己紹介をする番だ。
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