願い玉

古河奈桜

第1話

『ひっ…うっ…うぅ…ふっ…』


ある晴れた日の午後、空には雲ひとつない。厳しい寒さの冬を越し、豊かに育った木々の緑も目に眩しい。

そんな公園に似つかわしくなく、幼い少女の泣く声がした。

少女は背中を丸め、小さく蹲るようにして泣いている。

あまりの暑さからか、周りに慰めるような大人はおらず、ただただ少女の泣く声だけが響いている。


『うぇ…ふっ…うぅ…』


なおも泣き止まない少女に1つ、近づく影があった。


『お前、また泣いてんのか?』

少女が顔を上げると、そこにはやんちゃそうな少年が1人、少女を見下ろしていた。

『だって…ひっ…だってぇ、遊ぼって言っても…ふっ…みんな、私が、ノロマだからって、はっ、あ、遊んでくれないんだも、ん…!』


少女の言うみんなは、暑さに耐えきれなくなったのかもう公園には居らず、仲間外れにされた少女だけがこの場に残されていた。


『…守ってやるよ。』


『俺が、お前を守ってやるから!だからもう泣くなよ!』


少年は顔を真っ赤にしながら、少女に片手を差し出した。

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