第5話 唐草模様の風呂敷



 今、わたしは、なせか天使様の家にいます。

 さっきまでダイナマイトナイスバディのガフリエル様の家にいたのに。

 私のおうちが業者の鉄の箱に入れられてしまいましたし。

 てっきり新しいやつを買ってくれるのかと思ったよ。


 いいんですよ。

 新しいおうちは最初はヘンな臭いがしますけど、少し自分の匂いを付けたら快適になりますから。


 それでいいところに連れてってくれるというので、ネコカフェにでも連れてってくれるのかと思ったら。


 さっきから化粧臭いですね・・・

 天使様塗り過ぎです。ソレ。

 ブラッシングは手を洗ってお願いします。


 話がズレましたが。

 私の荷物も一緒に持ってきてるんですよ。

 おやつのほね〇ことサイフ。



 アレですかね、バレちゃったんでしょうか?

 私がネコ好きなのが。


 実はわたくしネコにハアハアする方なんです。

 ええ。

 メス犬なんて、ちょっとゴメンなさいです。


 いやもうね、あの白いお腹見てたらね。

 もうね・・・


 たまらんですよ。白いソックス履いたみたいなのとか。

 ふにふにしてそうなあの肉球。めっさ、柔らかそうじゃないですか。

 みんなそうなんですよ。


 それに顔に対してね大きな目。


 あのしなやかな体に・・・何度も言いますが・・・お腹が白い子なんてもう・・・


 メスネコめ・・・けしからん!




 おっと。

 大変失礼いたしました。天使様のいる前で。


 別に天使様にハアハアいたしませんよ。

 そりゃ、天使様の中では美人さんなのでしょうけれどね。

 ネコ好きのプライドが許しません。

 ていうか、そもそも論です。


 一応ね飼い主というか、世話してくれている天使様なのです。

 キモっ!って言われないようにしないと、ご飯に響きます。

 予算を着服なんてことは無いと思いますけど、おやつ抜きとか嫌がらせされそうです。


 やめてくださいね。手を洗わないでその手に持ったブラシで撫でるのは・・・

 あーあああ。

 臭いが・・・


 ちょ・・・あふん。

 気持ちいいです。天使様。

 それそれ。

 その顎の下のライン。


 解ってるじゃないか。ぐふふふふっ。



 えっ。

 もう終わりですか?早くないですか?

 もつと、こう・・・ほら。


 ほらっ。


 ・・・。

 まあいいてす。

 天使様もお忙しいんでしょう。



 それからね、さっきからすごく気になるんですけど目の前に置かれた

 唐草模様の風呂敷?が。



 どうしろっていうんでしょうか?




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る