オヤスミン
草凪美汐.
第1話 壱
「だから、何なんだよ。絶対に怪しいショッキングピンクのやつっ!!」
「まま、ささっと、実験体3号くん」
「勝手に実験体にするな!」
会社からの帰り道、宇宙人に
もとい、宇宙人と名乗る変質者に、車検に通らないような真四角のワゴン車っぽい乗り物に連れ込まれ、聞いちゃいけないような場所に運ばれて、あられもない姿で拘束されている。
誰かオレを殴ってくれ。
これ夢だろ、目を覚まさせてくれーっ
「はいはーい、キミに拒否権は無いよぅ」
逆三角形の顔の太眉と、
「言う通りにすれば、すぐ帰れるからねぇ」
丸顔のちょび髭が、オレを挟んで両脇に立って、ニマニマと笑う。
上司の伝達ミスで、納期の変更やなんやかんやで、ずっと遅くて遅くて……
やっと今日、定時で帰れたんだぞ。
「ふざけんな!」
叫ぶオレ、きっと絶体絶命。
「はーい、もう一回だけ、説明するよぅ」
と、太眉。
「今からキミは、この毒々しいショッキングピンクのヘルメットを被りまーす」
ヘルメットを掲げる、ちょび髭。
「すると、あら不思議!瞼が閉じて眠くなりまーす」
と、オーバーリアクションの太眉。
「オヤスミンという怪獣が現れるので、この麻酔銃で眠らせてくださーい」
今度は麻酔銃を掲げる、ちょび髭。
「このミッションが成功しないと、帰れませーん」
口調は子供向け番組の体操のお兄さん。
言ってることは、無茶苦茶だ。
「だから!なんでオレ?」
太眉とちょび髭が無言で見つめ合う。
それから、ちょび髭が頷いて、
「時間なので、失礼しまーす」
「失礼しまーす」
オレの質問をガン無視。
二人がかりで、ショッキングピンクのヘルメットを無理矢理に装着させられると、あら不思議、瞼が閉じて、意識が遠のいたのだった…………。
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