笑う家

バブみ道日丿宮組

お題:穢された笑い声 制限時間:15分

笑う家

 その家では笑い声がつきなかった。人を暗くしない笑い声ではあるが、家の前にある通りであっても、その声は聞こえた。しもも朝昼晩、関係なくそれは響いた。

 笑い声はやまない。

 それなのに、電気は一向につかなかった。

 夜中早朝。まだ明かりを必要としてる時間帯。明るい色が出たという記録は残ってない。


 ーーその家では本当に人間が生活してるのだろうか?


 不思議に思う人はたくさんいた。

 幽霊屋敷じゃないのかとか、精神異常者が暮らしてるんじゃないか。いろいろな説が浮上しては消えた。

 郵便受けに入った手紙はいつしか回収されて、ゴミもきちんと出てた。

 見てない時間帯に出てきてるのか? それを目にした人はいないのか?

 24時間の監視体制をとあるメディアが実施した。

 そうして3日ぐらい経った頃、メイド服をきた人物が外に出てくるのを撮影することに成功した。

 服装は馴染みのないものであったが、それ以外は人間らしい人間という視覚情報が出された。

 すぐさまリポーターが突撃した。メイドはきちんと受け答えした。

 人はいる。食事もする。トイレもいくし、お風呂にも入る。

 当たり前の言葉が次々と出てくる。

 リポーターはイライラした。

 聞きたいのはそんなことじゃない。もっと人ではないなにかを言ってくれと。

 その願望が目につまってたせいか、メイドはぽつりと言葉を漏らす。


 陽の光を浴びると、死にますので。


 ぱちぱちとまばたきするリポーターは何を言われたかわからなかった。

 カメラマンに名前を言われ、はっとして言葉を考えた。

 そうして、出たのは人間ではないのですかというどうしようもない言葉だった。


 人食いですので、あまり声に出さないほうがいいでしょう。


 それは妄想。

 現実は、血を飲むときに笑わないと失礼に値するとかなんとかという言葉。

 血を吸う。

 脳裏に浮かぶのは吸血鬼。食人。

 どこからそんなものを回収してるのか。いろいろ考えてるうちにメイドは家の中へ戻った。

 そして1ヶ月出てこなかった。

 変わらずあるのは、笑い声。


 いつしか笑い声が聞こえる家として、観光スポットになるが未だに誰が住んでるのかはわかっていないとされる。

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笑う家 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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