㉓
でも、それを不快には感じなかった。
痛みや苦しみに共感できる彼は、きっと誰よりも、それが持つ意味を理解している。
それは、何て悲しいのだろう。
どれほど、苦しいのだろう。
楽しいから笑うのではなく、
悲しいから笑って、
苦しいから泣くのではなく、
嬉しいから泣いて、
そんなちぐはぐな人生、私には想像もつかない。
分かるのは、そんな風に生きる彼は、限りなく、一人ぼっちだという事だけだ。
「…僕が、君とこの花を重ねたのは、何も外見的な要素だけが理由じゃないんだよ」
「じゃあ、何だって言うの?」
「スノードロップ。直訳すると雪の雫。ほら、雪村雫、君の名前と一緒だ」
「ふっ…、何それ。馬鹿みたい」
私は、思わず声を出して笑う。
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