復讐 7

 手足に頑丈な錠を掛けられ、年のためにロープでも縛らている三人は、寝袋に入り、うつ伏せになったまま九路を見上げた。


「やぁ、久しぶり」


 九路は笑顔で上から言葉を投げる。九路と半グレ達は目で合図をし、半グレ達は来た道を引き返して、何処かへ行ってしまった。


 まずは一人、口をふさぐタオルを外す。


「何だよこれ、ちくしょう」


 金髪の頭の悪そうな男が開口一番に言った。


「九路だよ、いや、君達は僕のこと『クソ』って呼んでたからそっちの方がしっくり来るかな?」


「九路って……」


 この馬鹿はようやく状況を少しずつ理解したらしい。


「お久しぶり、五島ごとうくん」


 そう言って九路は金髪の男に足を振り下ろした。


「がぐえっ」


 鉄板入りの重たい安全靴が顔に叩き込まれ、口の端が切れて血が流れる。


「お前、何のつもりだ!!」


「君たち流の挨拶をしたつもりなんだけど、気に入らなかったかな」


 もう一発顔を蹴る。


「ぐっ、っくそざけんな」


 五島は反抗的な目で九路を睨んでいた。


「君は何も変わってないようで安心したよ。これで気持ちよく復讐が出来る」


「復讐だと」


 五島が聞き返すと、九路は頷いた。


「うん、復讐。僕は君達のイジメのお陰で、つらい思いをして、未来までグチャグチャにされた」


 九路はカバンの中からアイスピックを取り出した。


「だから、君達を殺して、僕も死のうと思って」


 手に握られるアイスピックを見て五島は叫ぶ。


「ざけんな、んな昔のことで」


「君達にとっては過去でも、僕はトラウマで毎日思い出しているから最近のことだよ」


 そう言って、九路は五島の目にアイスピックを突きつける。


「君はよくコンパスの針で僕の背中を突いてきたね。君は今からこれで死ぬ」

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