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 間合いが詰まったところでミューリエは腰に差している剣を抜きつつ、そのまま上方へ大きく跳躍。躊躇することなく熊と女の子の間に落下していき、その勢いに任せて剣を振り下ろす!



 ――ザシュッ!



 鈍い音が轟き、剣の一閃は熊の前足を見事に切り落とした。


 熊は切断面から血をまき散らし、苦悶の叫びを上げながら後ずさりをしてミューリエたちと距離を取る。


 一方、ミューリエは剣を構えたまま、熊を睨み付けて対峙している。


「娘、下がれ。あっちにいる少年のところまで逃げろ」


「う……うん……」


 ミューリエに促され、女の子は目を丸くしつつも四つん這いでその場から離れた。


 そしてミューリエは女の子がある程度の距離まで避難するのをチラリと横目で確認すると、今度は一気に前へと突っ込んで次の一撃を熊へ繰り出す。


 熊はまさかそんな不意に突進してくるとは想定していなかったのか、戸惑ったまま動けない。


「やぁああああぁっ!」


 剣は熊の腹の辺りに突き刺さったかと思うと、流れるような動きで前足や後ろ足、顔へと次々に斬撃を加える。


 もちろん、それを操っているのはミューリエなんだけど、まるで剣が自ら意思を持って舞っているかのようだ。


 まさに阿吽の呼吸。こんなにも自在に剣を扱えるなんて、ミューリエには脱帽するしかない。


「バァオオオオオォォォーン!」


 熊はついに横向きに倒れた。全身が傷だらけで、地面には血溜まりが出来ている。あの状態ではおそらくもう抵抗は出来ないだろう。とはいえ、油断して不用意に近付くのも危険だろうけど。


「フッ、他愛もない。トドメだッ!」


 剣を後方に引き、熊の心臓めがけて突き刺そうとするミューリエ。



 でも……本当にそれでいいのだろうか……。


 なんだか熊が可哀想に思えてきた。命まで取る必要はないような気もする。ここで見逃したら、またいつか人間を襲うかもだけど……。



 ――さて、どうする?



●このまま熊の最期を見届ける……→36へ

https://kakuyomu.jp/works/16816927859763772966/episodes/16816927859765891912


●熊にトドメを刺すのを止める……→33へ

https://kakuyomu.jp/works/16816927859763772966/episodes/16816927859765775740


 

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