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 レインさんにもプライベートな事情があるかもしれないんだから、あまり根掘り葉掘り訊くのは良くないと思う。


 この場はミューリエに注意をしておいた方がいいよね……。


「ミューリエ、あまり深く追求しなくてもいいんじゃない? レインさんが武器を使って戦わない理由がどうであれ、それが僕たちにとって不都合というわけじゃなさそうだし」


「おおっ! ナイスよ、アレス! もっとミューリエに言ってやれっ♪」


「……ふーん、なるほど。アレスはレインの肩を持つのだな?」


 いつもはクールなミューリエが珍しくムッとしているみたい。鋭い眼光が僕の心に突き刺さる。裏切ったとでも思われたのかも。


 でもそれは誤解だ。決してそうじゃないってことを、きちんとミューリエに伝えないと!


「そ、そういうわけじゃないよ! そもそも僕はミューリエの仲間だからっ、事ここに至ったらミューリエの肩を持つよ! それは神様に誓ってもいい!」


「っ!?」


「ただ、仲間だからこそ言わなきゃいけない時もあると思うんだ。いつも全て同意することが良いとは限らないでしょ?」


 真っ直ぐミューリエの瞳を見つめながら、僕は諭すように問いかける。


 すると彼女は静かに目を伏せて唇を噛んだ。そして少しの間が空いたあと、フウッと息を吐いて顔を上げる。神妙な面持ちだ。


「……許せ、アレスよ。お前の言う通りだ。私としたことが少しムキになってしまっていたようだ。なんとも大人げない。レインも許してくれ」


「うん、あたしのことは気にしないで。あたしの方こそ熱くなっちゃってたみたい。それどころか助けてもらったことにもっと感謝しないといけなかったのに。ミューリエ、アリガトね。もちろん、アレスもっ♪」


 レインさんとミューリエは顔を見合わせ、お互い照れくさそうに笑っていた。僕にも満面の笑みを向けてくれる。どうやらこの場は丸く収まったみたいだ。


 やっぱりみんな仲良くしてくれた方が僕は嬉しい。


「今回の件はあたしの借りってことにしておくわ。じゃ、あたしは先を急ぐから」


 そう告げると、レインさんは走って先に行ってしまった。ただ、少し進んだところで立ち止まり、こっちを向いて笑顔で手を振ってくれている。


 進む方向は同じだから、またいつかどこかで会えるかも。



 ――その後、僕らも再び街道を歩き始めた。試練の洞窟はもうすぐだ。


 でも僕はそもそも洞窟という場所は書物で読んだ知識しかなくて、中に入ったことどころか見たことすらない。だから現時点では期待と不安が半々くらいだ。


 そこでは何が待ち受けているのだろう? なんだか緊張してきちゃった!



 TRUE END 3-2


 ※こちらが正史ルートです。『第4幕:勇者失格!? 試練の洞窟を守護する者』は、この続きから始まります。

 


 引き続き、第4幕をご覧になる方はこちら(第4幕のパラグラフ『1』へ移動します)。

https://kakuyomu.jp/works/16816927860513437743/episodes/16816927860513742154

 

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