この世界でもう一回の旅【没】

第1話 始まり

大通りにの赤いレンガ造りの中の建物が家の1つの中に1人の元軍人がいた。

「...へぇ、今日は流星群が観れるのか。しばらく外に出てないし、久々に出かけるのもいいかもな」

この男はフランクリン・グレーマン

見た目は中年あたりだが、かなり歳をとっていそうな仕草をしている。

かつては、軍の最高責任者を請け負っており、かなりの腕利きだったが、現在は引退しており、1人で家の中でクレイパイプを口に当て、新聞を読みながらモダンな2階建ての家で1階の客間で椅子に座りながらくつろいでいる暮らしている。

前は軍の最高責任者、参謀総長に就任していた経験を持ち、当時はかなり腕の立つ人であり、優秀な軍師であった。

現在は引退しており、悠々と家の中で暮らしていた。

そんな時、玄関の扉が鳴ったのが聞こえた。

「誰だ?」

玄関の扉が勢いよく開き、太陽の光が強く入ってきた。

「お久しぶりですね、ハイドリヒさん」

入って来たのは、西洋の甲冑を身に纏い、胸元にいくつかの勲章を身につけた将校が家の中に入ってきた。

「そんな喋り具合で話かけるな。元とは言え、上官と会話する時はせめて敬語を言え。そして、その名で呼ぶな」

新聞を読みながら適当にあしらう。

「そんなに怒らないで下さいよ、元・参謀総長。これでいいですか?」

肩をとんとんと叩きながら、喋りかける。

「馴れ馴れしく喋りかけるな。今は、もう関わりのない身だぞ」

新聞を深く被り、あたかも興味がないようにあしらう。

「それで、本当は何の様だ」

新聞から目を逸らし、男の目を険しく見る。

「ふふふ、よくぞ聞いてきくれた!私、アンドレイ・ハイドリヒは、ハルド帝国の参謀本部最高責任者に就任しました!」

アンドレイ・ハイドリヒ

20年前のグレーマンが辞任した後の最高責任者の補佐官として就任

グレーマンともそこそこ付き合いが長い

陽気な性格だが、やる時はきちんとやる

「知ってるよ、新聞でみた。俺の後継者のやつが辞任したってな。...で?」

グレーマンはそこまで興味がないようだ。

「...えぇ?そんだけですか?ここはもっとおめでとうとか、頼んだよとか、その辺の言葉はないんですか〜?」

ハイドリヒが苦笑いをしながら返す。

「ない」

キッパリと言い切ってしまう。

「...それで、ほかの要件は?」

来たからには何かしら用事があるのだろう。

「あ、そうそう、参謀総長に勤めるようになる前に沢山戦術や戦法を学びましたが、あなただけが知っている戦術を教えていただきたくて参りました!」

「皮肉を言いに来たのか?」

「えぇ!?」

もう引退してから20年。

とっくにグレーマンの腕前は落ちていることは誰が考えても分かることだ。

「いくら元軍のトップとはいえ冷たくないですか?」

「俺は軍人を引退した者だ。今さらなにも言うことはない。...で、本当は?」

未だに、興味がないアピールをする。

「...相変わらず冷たいな〜。それで、伝えたかったことは、私が最高責任者になって皆が今夜、祝宴をあげたいと言っておりまして、よかったら参加しませんか?」

就任式で、祝うのはどこでも変わらない。

「行けたら行く」

そんな提案に対してグレーマンは、常套句を出す。

「それ絶対来ない奴ですよね?」

「....一応聞いとこう。どこでやるんだ?」

既に読んだ新聞の記事を、まじまじと見つめながら言葉を出す。

「はい、今日は流星群が観られるとのことなので、見晴らしがよいハルド平原で行う予定です」

ハルド平原は、この首都北東辺りにある。

「そして、今日は丁度あの日から20年後ですからね」

「...そうだな」

グレーマンが顔を上げ、天井を見つめるようにして考え始めた。

「言ったからには来てくださいね〜」

と、言いながら扉を閉めて行ってしまった

「今日は...そうか、あれからもう20年経つんだな」

この日はグレーマンが辞任して20年目の節目だった

「...この日が来ると、どうしても夕露になるな」


<その夜>

現ハルド軍最高責任者のアンドレイ・ハイドリヒの誘いを案の定断り、家の2階のベランダで立ちながら夜空を見えげてる

「肌寒い夜の外でタバコを吸うって言うのも、悪くはないな」

肌にほんのり寒い風に打たれても、タバコのほんのりふわっとした煙が体を少し暖めてくれる

「にしても、今回の流星群はすごいな」

夜空には空を覆い尽くすような流星群の数が流れている。

「子供の時に比べて、数が全く違うようにみえるな」

肌寒い中、ただ無言で夢中で、夜空を流星群が終わるまで眺めていた。

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