赦し

 ああ、姉さま。ずっとずっと会いたかった。


 許して下さい。僕は、ばかだった。 

 姉さまのことを苦しめて、兄さまのことまで苦しめて……!

 そして、何の関係のない子供たちにも迷惑をかけてしまいました。


 蘭寿が死んで、ようやく気付いたんです。

 私は間違っていたって。

 いいや、本当は、伊織が死んだときに気付いていたんです。

 でも、どうしても姉さまに会いたかったから、目をそらしてしまった。


 ごめんなさい。

 ごめんなさい。

 ごめんなさい。





 老人となった少年は、泣きながら、幼い日に失った、あたたかな幸福に顔をうずめた。

 まるで聖母のような、優しい笑顔で、少女は少年を受け止めて――


 その手をひいて、空へ落ちていく。 

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