第6話お父さんがいないということ
今はどうだかわからないけれども
当時母子家庭の子どもに対しての偏見はすごいものがあった。
当然父親がいないのだから、周りから浮いてしまうのは仕方ない。
そんな孫を不憫に思ったのか、祖母は毎年近所の子どもを招いて誕生会を開いてくれた。
一軒しかない商店で、お菓子が食べ放題。
いつもいじめてきた男子まできてたのだから呆れる。
その時は仲良くしてても普通の生活に戻ると、その子たちの親から一緒に遊んではダメと言われるのだ。
祖母はそれもわかっててなんとか仲良くさせようとしてくれるのだが、それがまた悲しかったのを覚えている。
いつだったか、母子家庭の子だけ集めてバスで旅行に行くボランティアに参加したことがあった。
その時だけは、心の底から笑えたのだから、近所の子どもの親が言う事はあながち間違ってない。
しかしその時までは幸せだった事に気がつかないぐらい満たされていた。
だから、男の子とやり合った時につい言われた言葉を母に言ってしまった。
「お父さんがいないとだめなんだ。」
それからしばらくして、妹の父となる養父と母は結婚した。
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