第4話妹③
「PCR陰性だった。」
LINEに妹から連絡がありホッとしたのもつかの間。
「でもあいつさ、、、、、」
あいつというのは今回陽性になったパトロンの事だろう。
長々と政府が自宅隔離を短くしたという連絡とともに
「助けてあげられなくてごめんなさいね。」
とLINEが来たことが書いてあった。
陽性だったら生活費を援助してやるという話がなくなったのだろう。
これに懲りたのか、入っておけと言っていた保険に入るという。
コロナ保険なので少額だし、飛行機に乗る前の保険のようなものだ。
「電話番号教えて!」
急な話に驚く。大体電話帳を作っていないのだろうか。
「何のために?」
「私がコロナで死んだときの受取人、お姉ちゃんをする。」
「そういうのは親にしときなさいよ。」
「嫌。」
仕方がないので先日発見したメモの話をする。
母が送ってきた荷物の中に紛れていたフリーアドレスのメモだ。
それは亡くなった養父と妹の名前で組み合わせてあった。
写真に撮ってそれを送る。
「お母さんにとって家族は今でもお父さんとあんただけなんだよ。」
なんといって返せばよいのかわからないのだろう。
「お母さん末期なの?」
初めて母のことを聞いてきた。
「そうね。早めにあってあげてほしい。」
「・・・・コロナが収まったら一緒に行ってくれる?」
「そうだね。多分まだ死んでないやろ。」
やっと母に会う気になったらしく、それだけでも一歩進んだかもしれない。
LINEの後、母に電話するとずいぶん元気そうだった。
妹とはまた違う宗教みたいな話、叔父の進める健康法で母は生きているらしい。
普通に妹と久しぶりに会って、それから普通に死んでほしい。
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