社会について⑤
さてさて。
この頃になるとA村はもう、村とは言えないほど巨大になってきました。
Aひとりでは全てを把握しきれなくなってきたのです。
しかし、いくら人数が増えても領地が広くなっても、『安全かつ効率的に生きる為』という目的と、『問題を解決する』『食糧を得る』などの手段が必要なのは変わりません。それはAひとりの時から変わっていません。
巨大になった村をいくつかの『村』や『町』に分けて、自治を任せるようになりました。それらを束ねるのがAです。各村にも村長を置き、彼らからの報告でAが最終判断を行います。重大でない問題は、各村長の権限で解決します。
『国』の成立、『王』の誕生です。
最初に戻ります。何故、こんなに巨大な組織になったのか?
『問題』が発生したからです。それの解決策として『組織的に活動する』ことを、人類は選びました。
ひとりなら大きな怪我や病気さえなければ生きていくのに問題はありませんでした。
Aは、Bと出会い、『家族』となったことで、やがて『国』へ辿り着く道を歩みはじめました。
だから、『国家』と言うのです。
『国家』とは。『同じ目的の為に協力し合うべく集まった人々』のことを言います。
これからA国は、科学技術や文化なども発展させていくことでしょう。豊かになるにつれ、娯楽も生まれることでしょう。様々な職業も生まれるでしょう。効率の良い流通の手段として、『貨幣』という概念も生まれる筈です。法律も、時代に合わせて改良されていくでしょう。色んな国々で色んな法律があって様々なのは、その試行錯誤の表れです。
どれだけ時を経ても。根本の目的は変わりません。国とは、同じ目的で集まった人々。国と個人ではそれぞれ目的は違うでしょうが、国に属する国民である以上、国の目的も理解して従わなければなりません。追放されたくなければ。
――これが、私の世界観、『社会について』の『基礎』です。
組織が細分化されても変わりません。スポーツチームは『試合に勝つこと』を目的として集まった人々でしょうし、企業は『利益を上げること』が目的になるでしょう。『人が集まる』のは『目的があるから』です。
以降のエッセイも、これを前提にした話になります。
まさかこんなに長引くとは思いませんでしたが、取り敢えず基本的な考え方は話せたので満足です。
これがエッセイの醍醐味ですよね。自分だけのエッセイなので、自分の好きなことを好きなだけ、好きなようにぶちまけられる。
まあ、王の情報収集がきちんとされているかとか、判断が正しいかどうかとか、他国との外交、戦争とか、様々な問題がまだ大量にありますが、それは次回以降ということで。取り敢えず。まずは一番基礎を。
『史実がこう』だとか、『どの国の歴史か』なんてことはさておきです。さておき、ですよ。
完全には、否定できないと思うんですよ。どこか納得した話じゃありませんでした? 『あり得』ますよね。物事と考え方の順序として。
現実の政治問題をこのエッセイで取り上げるかどうかは分かりませんが、ひとつ投げ掛けてみましょう。
『自分の国』の『目的』って、何だと思いますか?
大事なのは、それに沿って今の政治は進められているのかどうか。
ルールが目的通りに機能しているかどうか。
1億2500万人も国民が居ると、その国の『A』は本当に大変だと思います。
(笑)
――
「いいえ。私は常に『帝国の恒久的繁栄』を考えているだけです」
アイネ・セレディア
『帝国は滅ぼさせない。』
第48話『大任』より
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