第39話 覚醒した錬金術師
『新スキル ステータス錬金LvMAXが解放されました』
(なんだ? ステータス錬金?)
『ステータスを自由に、錬金(足し引き)が可能となります』
それを聞いた剣也は即座にステータスを開く。
「ステータス!」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
名前:御剣剣也
DP:42300pt
職業:錬金術師
・錬金Lv13:次のレベルまで100万pt
(ランクAの武器を日に10回錬金できる:知力10に付き+1回)
(ランクEの武器を無限に錬金できる)
(装備品を錬金の種に変更可能 錬金の種:同ランクの錬金に使用できる種)
・ステータス錬金LvMAX
(現状のステータスを自由に振り分けられる。念じるだけで変更可能)
◆装備品
武器:【斬破刀Lv1】
頭 :【精霊の冠Lv1】
胴 :【帝の胸当てLv1】
手 :【帝の小手Lv1】
足 :【帝の具足Lv1】
アクセサリー:【ゴブリンキングの首飾りLv1】
◆ステータス
攻撃力:0(+1400)▼
防御力:0(+400) ▼
素早さ:0(+400) ▼
知 力:0(+500) ▼
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
するとウィンドウのステータス値の部分に、何か変なマークが表示される。
念じるだけで変更が可能とあった。
だから試しに知力ー500と念じる。
すると、以下のように変わる。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
◆ステータス
攻撃力:0(+1400)▼
防御力:0(+400) ▼
素早さ:0(+400) ▼
知 力:0(+500) ▼ー500
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
多分この500を他に振り分けるという意味だろうか。
そして攻撃力を+500と念じる
すると、以下のように変わった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
◆ステータス
攻撃力:0(+1400)▼+500
防御力:0(+400) ▼
素早さ:0(+400) ▼
知 力:0(+500) ▼ー500
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
それをみて剣也は理解した、体にみなぎる力を感じて確信した。
この力はどこかのステータスを下げて、別のステータスに割り振ることができるようだ。
+1000と念じると、他のステータスをー1000しておかないと駄目のようで、不足していますと脳内アナウンスが流れる。
剣也が理解したこの力は、装備を犠牲にして、装備のLvを上げてきた錬金に対してステータスを変化させる力。
つまりステータスを犠牲にして、他のステータスを上げることがステータス錬金。
力の使い方を瞬時に理解した剣也は、いまだ震えているレイナの手を強く握る。
「レイナまだ戦えるか?」
「はっはっ」
僕はいまだ呼吸が乱れるレイナを抱きしめた。
「僕は死なない。絶対に!」
その言葉にレイナの震えが止まる。
フラッシュバックしていたはずのレイナの震えが止まった。
剣也の強い言葉によって、レイナの瞳に蒼さが戻る。
「わ、私。はぁはぁ、すみません。もう大丈夫です」
「レイナまだ戦えるか?」
「はい、まだ戦えます」
そして二人は、立ち上がる。
見据えるは、ゴブリンの王。
多くの探索者達が時間を稼いでくれたがもう限界だ。
そろそろ死人が出てもおかしくはない。
だから…。
「いくぞ! レイナ!」
「はい! 剣也君!」
二人は王へと駆け出した。
少女は、過去に囚われた自分を少年によって呼び戻された、勇なる者として、勇敢に。
少年は、力を書き換えた、その彼だけの覚醒した錬金術師という力によって。
「ギャアァァア!!」
そしてゴブリンキングの斧が振りかざされる。
間に入るのは、剣也。
そして念じるのは…。
(全ステータス攻撃力へ!)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
◆ステータス
攻撃力:0(+1400)▼+1300
防御力:0(+400) ▼ー400
素早さ:0(+400) ▼ー400
知 力:0(+500) ▼ー500
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ゴブリンキングの一撃をものともせずにはじき返す。
その衝撃でキングはのけ反り、後ろへ一歩後ずさる。
次にレイナが横から一閃。
気を取られたキングは、片腕を上げてガードする。
軽傷だが、間違いなく青い血を流す傷をつけゴブリンの顔が苦痛でゆがむ。
レイナへとヘイトを集めたゴブリンは気づかない。
自分の一撃を止めた少年が、自分の命に触れていたことを。
(全ステータス素早さへ!)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
◆ステータス
攻撃力:0(+1400)▼ー1400
防御力:0(+400) ▼ー400
素早さ:0(+400) ▼+2300
知 力:0(+500) ▼ー500
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
目にもとまらぬその速度、そして移動するのは、ゴブリンキングの首の裏。
そして念じるステータス錬金、気持ちが全面にでて声が出る。
「全ステータス攻撃力へ!!」
その声に、王は反応した。
反応したが、もう遅い。
すでに剣也の剣は振りかぶられている。
「うぉぉぉぉぉ!!!」
この一閃で、勝負を決める。
すでに剣也も限界だ、腹を引き裂かれ動くたびに傷が広がる。
それでも剣也は止まらない、裂かれた腹の底から声を出す。
その一閃は、今までのどの攻撃よりも速く、そして重かった。
なぜなら気持ちが乗っていたから。
生きたいという気持ち、みんなを助けたいという気持ち、こいつを倒したいという気持ち。
いろんな感情を乗せて、刃を振るう。
初めての死を全身で感じた戦いを超えて、剣也は覚醒した。
スキルが? いいや違う、探索者として戦士としての覚醒、と目覚め。
その剣也の刃が、鬼の王の首を取る。
ザシュッ!!
抵抗むなしく首が飛ぶ、王の首は断罪された。
悲鳴すら上げられず、自分の身に何が起きたかも理解できずにゴブリンの王の首は地面に落ちた。
残るのは、巨大な体躯だけ。
首を無くしたその体は、ゆっくりと倒れて灰になる。
そして、この瞬間剣也の勝利は確定した。
「…かったのか?」
探索者達は、その光景を見て声を漏らす。
勝った? あの化物に勝ったのか?
そして剣也は剣を掲げる。
王は打ち取ったと示すように。
「「うぉぉぉぉ!!!」」
10階層に探索者達の歓喜の声が充満する。
命の危機から、助かった安堵を喜んで全力で声を上げて勝利を喜んだ。
「剣也君、あなたは一体…」
「ごめん…ちょっともう限界かも」
近寄ってきたレイナに剣也は倒れ掛かる。
血を流しすぎた剣也は、既に限界だった。
「はい…。今は休んでください」
レイナは優しくその胸に剣也を抱きしめる。
剣也達は勝利した。
ダンジョンの悪意に、これでゲートも開き家に帰れる。
「お、おい。ゲートがまだ開かねぇぞ…」
「そんな馬鹿なわけあるか! だって、だって倒したんぞ。ボスを」
そう思っていたのに…。
ダンジョンの悪意は底知れず。
一度掴んだ獲物は逃がさないという意思すら感じるように。
そして彼らの健闘をあざ笑うかのように。
まるで、絶望を感じさせるために待ってましたとこう告げた。
『エクストラボス 【ゴブリンキング】の討伐を確認しました。続いて…』
「うそだろ…」
「ありえねぇよ…」
『エクストラボス 【オークキング】、【コボルトキング】、【オーガキング】の三体を召喚します』
そして絶望の王達が現れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます