ヤングケアラー・ハナは、奮闘中!②~車いすサッカーをする子の悩みを聞いて、理系女子のセクハラ(アカハラ)ケアも、やっていきたい!~

@maetaka

第1話 ヤングケアラーの仕事、多すぎ!誰かを、支えよう!家族介護だけをする存在じゃあ、なくなってきていたみたい。

 マキハタヤマハナは、ヤングケアラー。

 「ヤングケアラー」

 それは、通学や仕事をしながら、障害や病気をもつ親や祖父母などを、介護する子のことだ。

 年下の兄弟の世話も、する。

 たいていは、18歳未満の子が、ヤングケアラーと呼ばれる。

 「部活に、いけないよ。クラリネットを、吹きたいのになあ…」

 ハナも、中学校に通いながら、家族介護の日々。

 「もどかしい…」

 友達は、こう言ったものだ。

 「ねえ、ハナ?ヤングケアラーって、大変なんでしょう?もどかしいでしょう?2階から目薬?」

 けれど、2階から目薬が、必ずしも、もどかしいことをいう言葉なんかじゃないと知っていたハナの心には、その言葉は、あまり、響いてはこなかった。

 そんなことよりも…。

 「こんな社会のままじゃ、ダメ。もっと、たくさんの悩みを聞いて、変えていけなければならない」

 ヤングケアラーの子は、真面目。

 思いは、多様。

 仕事も、多様。

 ヤングケアラーっていうのは、家族介護だけをする存在じゃあ、なくなってきていた。

 以前は、中学生アスリート女性の悩みを聞いた。

 「中体連とかの大会で、走る。カメラを向けられる。中には、疑問に思っちゃう人もいる。アスリートを、じろじろ…。たぶん、いやらしい気持ちで、女の子の身体を撮っているんだと思う」

 最後、その子は、立ち直ってくれた。

 「私、また、走り続けます」

 私が、役に立った?

 こういうとき、ヤングケアラーをやっていて良かったと思える。誰かの介護をするような人にもまた、誰かに介護されるような暖かさがくることを知る。

 情けは、人の、ためならず…。

 いつか、私にも、めぐってくるんだ。

 「コロナ禍…。コロナ禍…」

 アスリートの盗撮問題に悩む中学生と別れて、1週間近くが、経っていた。

 そんなとき…。

 思いがけない連絡が、やってきた。

 「…もしもし?」

 「え?」

 「ハナさん?」

 「はい」

 「私です…」

 「え?」

 「アスリートの盗撮のことで相談して、聞いてもらえた、私です」

 「ああ」

 「お久しぶりです」

 「久しぶり」

 また、ケアをしていきたい気持ちになってきた。困っている人たちは、他にも、いるはずなんだ!ヤングケアラーの仕事、多すぎ!







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