子どものいる食卓
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ウォームアップ
「親子での食事時間」
この言葉から、皆さんはどんな光景を思い浮かべるだろうか。
美味しそうな料理を囲んで、家族団らんの時間?
親子のあたたかいコミュニケーションタイム?
どっこい、子供が現在3歳と1歳のわが家にとって、食事時間とはある種のスポーツに等しい。
休日の食卓は、わたしと夫の大人チーム対、娘と息子の子供チーム、例えるならミックスダブルスだ。
2対2と言っても子供チームはなかなか手強い。
1時間弱程の食事時間でも何かと毎回バタバタワーワー、「あっ大根落ちたで!」「しゃんと座りやー」「これはお母さんの分やで」「ギャー(泣)」である。
描写が不親切で申し訳ないが、何となく推察していただきたい。
本題はここからである。
平日週5日の夕食は、大人チームわたし1人。
対する子供チームは2人。
「これ、試合成立します?」
「すいません、これ何の修行ですか?」
できるならクレームをつけて試合を棄権したいが、そうもいかない。
さて、以下は試合前のウォームアップで行うルーティンと思って読み流していただきたい。
仕事がある日の場合、夕方はまず会社帰り(電車通勤)に子供2人を迎えに保育園に行く。
「○○ちゃんと一緒に帰りたい」と言って、帰り支度が全く進まない3歳娘。
園内で脱走を繰り返しては捕まり、抱っこする腕の中で活きのいい鰹のようにピチピチする1歳の息子。
どんどん肩に食い込んでいく荷物。
子供たちをやっとのことで連れ出して、自転車に乗せ、ヘルメット、ベルト装着×2人、地味に作業が多い。
何かが息子のご機嫌に沿わず、身体を伸ばして乗車拒否された日には、白目を剥きそうなほど焦って疲労倍増。
家に着いたらまたベルト、ヘルメット外し、自転車から下ろす×2人。
自転車カバーだって、荷物がたくさんあって子供が2人そこにいれば、めんどくさい作業のひとつにカウントされてしまう。
家に入り手を洗わせて荷物を片付けて洗濯物を取り入れて…この時点でもう疲れている。
ちょっとだけ一息、と、ようやく腰を下ろすと、息子が絵本を持ってくる。
娘が「こどもちゃれんじ」のDMを開けてと言う。
息子がよじ登ってくる。
一息つけないまま、次は夕食準備に取り掛かる。
トントントン(包丁の音)・・「いい匂い、お母さん今日のご飯なに?」
これは幻想または妄想。
現実はこんな感じだ。
東に「ねえお母さん、セロテープ出して」と呼ぶ娘あれば、
戸棚に行って高いところにあるセロテープを取り、
西に抱っこしてとしがみついてくる息子あれば、
「抱っこやでー」と、抱えておもちゃのある所に連れ戻し、
南に「ねえ、お母さんもちょっと作ってみて」(謎の制作物の依頼)と呼ぶ娘あば、
行って手を貸してまた台所に戻り、
北に母で股くぐりをしようとする息子あれば、
脚で息子を挟みながら洗い物をする。
料理の描写が一切ないが、まぎれもなく夕食準備中の光景である。
念のため(?)言っておくと、料理中はだいたいEテレがついている。
わが家にとっての神チャンネル。
かと言って、食事ができあがるまで、子供達がずっと大人しくしてくれると過信してはいけない。
様々な苦難に立ち向かい(言い換えれば料理の段取りは乱されまくり)、どうにか夕食が完成。
この時点で、まだ試合前である。
「アップ長っ!」
と思うやろ?
おっしゃる通り。
でも、食卓にたどり着くまでにこれだけやっているということは、誰も見てないけど誰かにアピールしたいのだ。
(つづく)
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