座頭市転生
魯沙土曜
第1話 おらは死んじまっただ
会社帰り、僕は車を走らせながら、ウキウキしていた。なぜなら、今日はお気に入りのアイドル、BBQ29の推しメン柏崎もえちゃんのセンターとしての初舞台だからだ。
「肉っていいなー食えたらいいなー霜降り、和牛ですき焼き、焼肉♪」
と口づさんでいると、信号が赤になった、が僕は気がつかず交差点にウキウキ突進。
バーン――。ピーポーぱーぽー。
俺は、、、どうなってしまったんだ?
「うっうーん」
僕は目を覚ました。しかし、体が重たくなったような気がする。しかも少し加齢臭のような香りまでする。僕はまだ23なのに。
「お母さーん、こっちだよー、お爺さん倒れてるのー」
「あら大変、連れ帰って看病しないと」
そんな会話が聞こえた。
「どうぞお構いなく」
僕が言うと、母子は少し怒った様子で
「駄目です、あちこちすりむいてるじゃあありませんか、怪我の処置をしないと」
とまるで聞く耳を持たない。
「大丈夫ですって、ただ事故にあってふっとばされただけ…」
と言いかけて僕ははっとなった。交差点に突進してトラックにぶつかったまでは覚えているがそれ以降の記憶がない。
「事故って、馬車とでもぶつかったのですかお爺さん」
「お爺さん!?こうみえてもまだ23ですよ私は」
一人称が私と口走ってしまった。
「あらいやだ冗談がお上手ね」
と薄ら笑いを浮かべた、母子の母親は、
「私はタマオー、こっちは娘のユリー」
「そうですか、タマオーさん親切にどうも」
「とりあえず歩けるみたいね、家に来てくださいまし」
「お言葉に甘えて」
僕は母子と共に歩き出した。少しして違和感に気づいた。腰のあたりになにかある。
触ってみると杖のようだった。僕は死んでしまって、異世界にでも飛ばされたのだろうか、これが俗に言う転生というやつか?などと考えていた。しかし、お爺さんと呼ばれる老体に転生とか今まで聞いたことがない。考えている間にタマオーの家に着いた。
「まずは怪我の治療からね」
タマオーは、やる気満々だ。
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