潜降09m 秋葉のチャボイ

♪~ン~ンン~ンー♪ ン~ンンンン~♪


♪~ン~ンン~ンー♪ ン~ンンンン~♪


隔週の土曜日休み。

外は何か晴れたり曇ったり。


でもお湯になったり水になったりのシャワーも直って上機嫌な私です。


『秋葉に行ったら寄ってみるのも面白いかも!? 』

コンビニでもらった冊子『 今街! 』を手に取ると、そこにでかでかと紹介されている流行りのお店。


「Chaboy チャボーイ? ああ、チャボイね。え~と、イケメン茶坊主が勢ぞろい? さわやかで落ち着いた空間で抹茶などいかがですか? ふ~ん。仕掛け人の.. なになに.... えー!これしげさんじゃん!! 」


重さんは私が以前に勤めていた『SoundShopレノン』の元同僚だ。

今はサブカルチャーをプロデュースする会社に勤めている。


****


秋葉! 来てしまった!

あのあと重さんにメールしたら『ぜひ行って感想をきかせて!』と招待クーポンをもらってしまった。


「私、あまり秋葉行ったことないよ? 」

とあまり乗り気ではない七海ななみを誘って来てしまった。


「メイドさん~、可愛い。もっちんもメイドさん似合いそう。そういえばLIVEでもメイド服きたことあったね。なんかもっちんだけいつもステージ衣装凝っててさ」


「うん。だってステージだもん。ちょっと違う感じになりたいじゃん。メイドか。副業でメイドのバイトやろうかな! 」


七海は高校のバンドでドラムを叩いていた。

小柄だけど力強く、手数が多いドラムだった。

そして、私の大切な親友!


・・・・・・

・・


「ここじゃない? 」

「うん。ここだ!ここだ! 」


— ブーン

[ どうぞ、こちらまで— ]


「あは。もっちんの知り合いのひとはいるの? 」

「ううん。重さんは仕掛け人だからいないよ。クーポンくれただけ」


「けっこう落ち着いた感じでいいね。それに本当に茶坊主だ」

七海は店員の剃髪された『さっぱり頭』を見てはクスクス笑っていた。


・・・・・・

・・


『お待たせいたしました。「抹茶りまったりセット」でございます』


「なんか割と普通だけど.. このトッピング追加するとなにかあるのかな.. 例えば読経してくれるとか.... 」

「 ..これ頼むの勇気いるね」


・・

・・・・・・


「1回会っただけなんでしょ? 」

「うん。でも結構メールでやり取りしてるし、電話したこともある」


「そうなんだ。どんな人とかって ..大丈夫なの?」

「 ..うん。今度、沖縄に行こうかなって.. いろいろ案内してくれるって言ってるし。ああ、でも七海が思っているようなことじゃなくて、友達って感じだから」


「そっか ..じゃ、私も一緒に行こうかな? なーんて.. 」

「七海も行く? 」


「うん、行こう。8月の下旬くらいなら行けそうだし.. もっちんは? 」

「土日利用すれば、大丈夫だと思う。金曜休み頼んでみるよ」


「じゃ、その予定でいこう! 」


「で、このトッピングどうする? 」


@@@@

@@


『今日、秋葉にいって面白かったんですよ。「Chaboy」茶坊主ばっかりで—        そして! 友達とそちらに遊びに行く予定立ちあがりましたー!

その時、天気が良いといいな。台風とか来ないか天気図とか気になっちゃう。


早く沖縄の海を見てみたいな。


お仕事がんばってくださいね(^_-)-☆

おやすみなさい。   桃 』


~送信~




****


そして、そのメールの返信が届いたのは、4日後の夜だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る