3/1(火)トイレットペーパーを替えたくない話

前回のエッセイでぼやいたDropboxだが、サポセンに問い合わせをしたら結局「高度なインストール」とやらを試さなくてはいけない事態となっているようで、「高度なインストール」という響きは大好きなのだが、肝心のサポートページに書いてあることがさっぱり分からないため諦めた。


私にとっては決して安くない有料プランを利用させて頂いているが、一気にデータを同期出来るものを手作業で同期させている。この健気な私を救ってほしい。

……本当に、何が原因でデスクトップアプリ消えちゃったんだろう。なんにもしてないのに……。

分かる人いたら、連絡ください。


🐤    🐤    🐤


さて、私には昔から小さな悩みがある。

それは「トイレットペーパーを替えるのが嫌」ということだ。


自分でも不思議なくらい嫌なのだ。

大した手間もかからない、後の人にも喜ばれる。

トイレットペーパーを替えるという行為はいいこと尽くめなのに、用を足し、ホルダーに手をかけ「カラン……」と芯が私の手を空回りした音を聴いた瞬間にとてつもない怒りに襲われる。


これが家ならまだしょうがないと思える。ずっと家に居るのは自分なのでロシアンルーレットの確率は一番高い。

これが、初めて行った駅のトイレや滅多にいかない商業施設のトイレ、何か月も待った推しのコンサート会場のトイレ、高速道路の休憩所のトイレ……どこでもかなりの確率でぶち当たる。


そのたびに私は6秒息を止め我慢する(怒りがおさまるらしい)。

大した手間もかからない。……が、たまにめちゃくちゃ複雑な構造のトイレホルダーが存在していてお尻が拭きたいだけなのになんでこんな寄木細工を解くみたいなことやらされなきゃなんないのと、怒りと悲しみで涙がちょちょぎれる。


後の人にも喜ばれる。……人のためと思って替えるが、じゃあ私の前の人はぜっっったいにこの紙の量じゃ後の人が拭ききれないだろうなと分かっているはずなのに、なぜ替えて出ない。紙の量を見ないフリ、知らないフリをしてトイレを後にする。

お前はこんな水しか買わなかったコンビニのレシートみたいな紙の量で全部の水分拭き切れるのか。水分のみとも限らないじゃないか。


……私の怒りの源はここなのかもしれない。押し付けられたという悲しみから発生するものに違いない。


私はおかげさまで割と楽しく毎日を過ごしているので、死ぬときはかなり名残惜しいと思いながらこの世を後にすると思うのだが、たったひとつ「これでもう、トイレットペーパーを替えなくて済む」と思えば、あっという間に成仏できるような気がする。


それくらい、とにかく、嫌なのだ。



そんな思いを抱えて過ごしていたある日、こんな話を聞いた。

所ジョージさんは、自分がトイレットペーパーを替える目に遭った時、とても喜ぶのだそうだ。

「奥さんがこの仕事をしなくて済んでよかった♡」と、嬉しく思うのだそうだ。


この世で初めて釈迦を見た人はこんな気分だったろう。

この世で初めてマッキントッシュを見た人はこんな思いをしただろう。


こんな人が、いるなんて。こんな発想が、あるだなんて。


自分が抱えきれない気持ちを感じた時、私はTHE YELLOW MONKEYの「JAM」のサビをエンドレスリピートする癖がある。


僕は何を思えばいいんだろう?

僕は何を思えばいいんだろう?


所さんの境地に達するために、私はあと何本のトイレットペーパーを替えればいいんだろう。


世田谷ベースのトイレもこじゃれてんだろうなあ。

遠い目をして思う。

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