第27話 お城へ

ストラップを注文した翌日、美幸の自転車は『和歌山城』に向かっていた。


近場で『桜』の撮影をするため、候補に挙がったのがこの場所。

和歌山市最大の観光名所と言っても良いこのお城はその昔、徳川御三家の一つ、紀州藩紀州徳川家の居城。


祖父の好きなDVDコレクションにもあった『暴れん坊将軍』こと徳川吉宗も和歌山だったよね~小さいときは時代劇好きで祖父と一緒に見たよね。

「成敗いたす!!」そう言いながら片手で切るそぶりをする。

気分は騎乗して敵を片手で切り倒すイメージだが、たまたますれ違う人もいないが傍から見たらちょっと危ない女子高生。


カメラ屋さんの前のけやき通りを西に走ると10分ほどで『和歌山城 一の橋』に到着。


ココにも一人で来るのって何気に初めてだな…。

それにしてもお堀と松の木が凄く綺麗だな~と左手側にお堀を見ながらさらに西に走ると『御橋廊下』が見えてくる。

二の丸と、庭園がある西の丸をつなげる傾斜のある橋で江戸時代の図面をもとに復元されているんだって~。

で、この位置からは和歌山城の撮影スポットとしても広く知られており看板も設置されている。


よし!ここはフィルムで撮影だ!!

絞り値はF22でファインダーを覗くが、御橋廊下の後ろに見える天守閣とお堀が綺麗に入らない。

縦撮りにしようかな?右手を上にあげカメラを縦に持つ、脇をしっかり締め落とさないように慎重に、左手の親指と人差し指でしっかり固定。

おぉ…この左手の持ち方だとレンズ操作もしやすいんだね、ちょっと発見!!。


この巻き上げレバーの感触がホントたまらな~い!!

写真撮ってるって感じがするよ、スマホは便利だけどこの感覚を知ってしまうと、味気ないんだよね。


そんな事を思いながらシャッターを切るのだった。

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