第25話 階段を上がれば

気を取り直し、『楼門』を撮る。

朱色の立派な門と桜がホント綺麗だね~上から見る景色最高だろうな~。

だなんて思ってた時期がありました。

桜門の階段を上がり門を抜けると、超が付くほどの急こう配の階段。


その数231段。


1/3ほど登ったところで階段に座り込んで休憩してま~す。


自転車で約1時間からのこの階段はホント辛いよ~。


振り返って景色を眺める余裕もなく、手すりを掴み必死に登る。


しばらく悪戦苦闘しながらも登り切ったところが境内の中心部。

正面に六角堂、右手は新仏殿、左手には本堂。

そして本堂脇の石段をさらに上ったところには多宝塔があるんだって。

さっき階段で休憩しながらスマホで調べたよ。


至る所に桜が咲き、ホント綺麗!

真っ青な空に映える本堂と朱色の欄干と桜が何とも言えない和の雰囲気。


ひとまず桜を撮影しながら観覧する。

境内ばかり見ていたが、ふと後ろを振り返り街並みを見る。


そこには和歌浦湾を見渡すことができる風景が広がる。

空の青と海の青の境目で、日差しを受けてキラキラ輝く海面が見え、少し肌寒い風が疲れた体にあたり心地よい。

紀ノ川河口平野の南部にある名草山から見る景色はホント綺麗。

あぁ今日は来てよかったなと、カメラを構えパシャリと一枚。


自分から寺社仏閣巡りを始めるなんて今までだったら絶対無かったなぁ~。

いろんな所に行けるのもこの子カメラを貰ったからだね~。


境内をうろうろしながら見つけたのは、本堂向かって左の桜の木。

コレがいつも桜の開花時期にニュースで聞く『ソメイヨシノの標本木』か。


和歌山地方気象台標本木『ソメイヨシノ』に指定されているからニュースで出てくるんだね~。

近畿地方では最も早く開花するのがこの桜の木で、「近畿地方に春を呼ぶ寺」って呼ばれているんだって。


春を呼ぶ寺ってなんかいいね~。


「F5.6の絞りにしてっと、桜の花びらをできるだけアップで撮ってみようかな」

構図を決めて2枚ほど撮影する。


撮りすぎは前回のニタマ駅長で失敗したのでいろいろ見て回らないとね。


スマホで調べると名水百選に選定されている「清浄水」、「楊柳水」、「吉祥水」

ってのもあるのか~。

3つの湧き水は紀三井寺の三井水さんせいすいだって。

来てみないと知らない事だらけだ…。


撮影だけじゃなくてこの場所の事も色々知りたくなってきたな~。

今度行く場所は事前に調べてから行くともっと楽しいかも!!


楽しく散策する美幸だが、この後、あの階段を下りて自転車で家まで帰らないといけない事を忘れてひたすら撮影を続けるのであった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る