5 安心

 今日起きるとここ五日間で嗅ぎなれたようなまだ慣れないような、そんな匂いが部屋の中に充満していた。


 まさかと思って起きてみたら昨日はあんなに苦しそうに倒れていた彼が、微笑みながら朝ご飯を作っていた。


 飛び起きてまだ安静にしてないとだめだと怒ったんだけど、彼は私のそんな声なんてどこ吹く風で全く聞く耳を持たず朝ご飯を作り続けていた。 

 まあおいしかったんだけど、そういう問題ではない。


 基本的には私の意見を尊重してくれる彼だけど、時たま融通が利かないというか頑固になる一面がある。


 そういう時の雰囲気は私の教え子たちにちょっと似たものを感じる。

 まあ教え子に比べたら、全然手柔らかいものだから、なんてことないんだけど。


 そのあと公園に行った。

 公園では何をするでもなく、ただベンチに腰掛けてのんびりしてただけだったんだけど、そんな空気が何となくいいなって感じた。


 まあ途中から公園で遊んでいた子供たちに私が混ざっちゃって、そんなのんびりした空気なんてどこかに行っちゃったんだけど。


 彼もそんな私に付き合ってくれたけど、まるで私のことを子供でも見るような顔で見られててちょっと恥ずかしかったな。


 彼のおかげで明日起きるのが楽しみになってきた。

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