ハイスペすぎて全てをつまらなく感じていた俺が狂人系女子達になつかれて新しい扉を開いた件~狂ってなければ全員アイドル級なのに~
第15話 美人な母とハーレムと百人一首とスラム●ンクは最高だよね的なおはなし〈顎の怪〉
第15話 美人な母とハーレムと百人一首とスラム●ンクは最高だよね的なおはなし〈顎の怪〉
「ではっ、誰がお兄ちゃんのお嫁さんになるのが相応しいか……お義母さんに判断してもらうですっ!」
そう言って紅太陽は勝手に変な勝負を繰り広げる。
「ふふっ、良かろう」
「望むところ」ぷぅっ
「負けないよ~」
部員共も何か勝手にやる気になっている、人の家に一体何しに来たというのか。
「あらあら、幸せ者ねカズ君は。その想いを無下にするわけにはいかないわ、見せてもらいましょう」
母さんまでもがその気になってしまった、もう疲れたよパ○ラッシュ。
「一つ提案がある、アピールは名前と「趣味」のみにする。余計な事をつけ加えたら失格」
「何っ!?」
「……なるほどです! 趣味で人間性がわかるというもの……やってやるです!」
「私も大丈夫だよ~」
部長……雪音さんが提案し、それに太陽と雨さんが同意する。
唯一、夜永さんのみが驚きの声をあげた。
(夜永の最大にして唯一の武器、お金持ちアピールを封じる。これで条件は五分……ッ)ブゥッ
ざわ……ざわ……
(ふふ、やるです部長! 更に言えばアタシと部長になく夜さんと雨さんが持つ武器……「パイオツサイズ」! これでスリーサイズをアピールするのも封じたです!)
ざわ……ざわ……
今この部屋では世界で一番くだらない駆け引きが行われている。
気のせいか皆のアゴが長く見えた。
「林林ちゃんは参加しないの?」
布団の上で何か作業を初めた林林に雨さんが声をかけた。
「今バスケに目覚めそうになった主人公がやっぱり銀行マンになる漫画……『スラ○バンク』を執筆中です、邪魔しないでもらえます?」
林林はスラ○ダンクの単行本に落書きしまくっていた。
こいつからは後で賠償金と著作権料を徴収して井上先生に謝罪文を書かせよう。
「ではっ! 一番! 紅太陽っ! 趣味は…………『百人一首』ですっ!」
「何っ!?」
「……やられた」
「そうだったんだぁ、太陽ちゃんっ」
ざわ……ざわ……
ざわ……ざわ……じゃない。
何を先手で最強のカードを出した、みたいな雰囲気を醸し出している。しかも大嘘じゃないか。
百人一首自体は素晴らしいが何のアピールになるというのか。
(ふふふ、理知的にして厳(おごそ)か。これを一挙に醸し出せる趣味と言えば百人一首を置いて他にあるまいです! この勝負もらいました!)キラッ
「あらあら~太陽ちゃんは理知的にして厳かなのね」
嘘だろう? 母さん。
百人一首からそんな事を感じとるなんて……騙されてるけど。
「二番、白磁雪音。趣味は『千人一首』」
「なっ……!?」
「やられたかっ……!」
「わぁ~なんか凄そうだねっ」
予想以上に馬鹿そうな言葉が聞こえてきたけど気のせいじゃなかった。
そして、それがむしろ通常運転だった。この狂人達には。
「あらあら、更に上をいく千人一首……まさに仙人のような存在なのね雪音ちゃんは」
母さん?
そんな言葉はないし、上手くないし、母さん?
「三番、黒檀夜永。趣味は庶民どもにビルにかけた鉄骨を渡らせ、それをタワーマンションから見下ろしほくそ笑む事……」
ざわ……ざわ……
「っ!!」
「……その手があった……油断した…」
「恐いよ~夜永ちゃん」
夜永さんは遠回しにお金持ちアピールできる方法を見つけたようだ。
人間性のクズさまでアピールしてしまっているので逆効果だけど。
「あらあら~黒檀財閥の一人娘で跡取りである夜永ちゃんは言う事が違うわね~」
もう知ってた。
事前に調べていたのだろうか……夜永さんはただ単に金の亡者である自爆アピールをしてしまっただけだった。
「餃子(ちゃおず)ーーーーっ!!」
「さぁ、後は群青雨ちゃんね。聞かせてちょうだい」
後ろで自爆した夜永さんを見届けた後、母さんが雨さんに紹介をうながす。
「あっ、はい。えっと……群青雨です。趣味は…………」
そこで雨さんは考えこむ。
「あら……どうしたの?」
「あ、いえ…………私……何をやってもできなくて……何も好きになれなかったんです……だから…趣味らしい趣味なんて無くて……でも、今の趣味は……部員の皆といる事です」
「!」
その雨さんの言葉に、皆が黙り込んだ。
俺も……そうだった。
「皆といるの……凄く楽しくて……何でもできそうな気がしてきて……だから、私の趣味は……一番好きな事は皆といる事。以上ですっ!」
「……雨さん…」
「……ぐすっ……雨さぁん、アタシもですぅっ!」
「……れいん……」
「……ふふ、これは一本取られたな」
皆、目に涙を浮かべ……雨さんに抱きつく。
「どうやら……ウチ達の負けのようだ」
「……仕方ない……この場はれいんに譲る、次は負けない」
「ぐすっ……そうですねっ……」
どうやら部員全員納得したようだった。
やはり純真な心が一番強い、という事か。
「母さん、変な事に巻き込んでごめん。もう話は済んだから戻って大丈……」
「優勝は彼女よ」
突然母さんはわけのわからない事を言って一人の女の子を指さした。
優勝は……ベッドに寝てスラ○ダンクの漫画をめちゃくちゃにした【萌葱林林】らしかった。
「どうでもいいけどあなた達いつまでいるつもりかしら? 私の可愛いカズ君と私が二人きりで過ごす時間がなくなるでしょう?」
「「「え……」」」
部員全員が固まった。
俺も同じだった。
こんな母さんの姿を見るのは初めてだった。
「母さん、何を言って」
「カズ君が初めて女の子を家に連れてきて腸が煮え繰り返りそうになったけど我慢してたわ。しかしそれだけじゃ飽き足らず何を色目アピールまでしているのかしら? 感動話までして反吐が出るわね。カズ君は私のものよ。かーっ! ペッ!」
母さんは部屋に唾を吐いた。
母さん、ここ俺の部屋。
「その中で唯一、彼女だけはカズ君に興味を示していないわ。合格よ、友達としてはだけど。その他は消えなさい、二度と来るんじゃないわ。ノーボータリツ ハラボリツ シャキンメイ シャキンメイ
タラサンダン カエンビイ ソワカ」
母さんは悪霊退散か何かの呪文を唱え、林林を除く部員達を追い払った。
「さぁ、貴女は居ていいわ。部活や学校でのカズ君の様子を事細かに報告しなさい! さぁ! さぁ!」
「嫌ですよ、そもそも興味ないんで。高校生の息子にムスコンですか? 気持ち悪っ、二度と来ません」
バタン
「………」
「………」
部屋には落書きされたスラ○ダンクの単行本と性癖が息子にまで露見してしまった母さんと母の本性を知ってしまった俺。
「「「「………」」」」
外には家を追い出され、他人の家の恥ずかしい部分を知ってしまった部員達。
「お~れは、天才~! バ~スケッ~トマン! スラ○ダンク最高!」
一人……先ほどまでバスケに恨みを燃やしていたのに急にバスケの歌を唄い出した、最早情緒不安定としか言い様が無い萌葱林林は家を出て浮かれて走っていた所を軽トラにはねられたらしい。
こうして誰一人幸せにならなかった休日は終わった。
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