第2話 赤髪ツインテール元気娘的な存在のものとの出逢い
「それじゃあ……部員を紹介する」
◇ ー 森の中の小さな小屋 ー
案内されて着いた場所は木々に囲まれた木造の小屋。
まさか、この為に建てたわけじゃないだろうから学校の何かの用途で造られたものだろうを利用しているのだろうか。
小さな小屋ではあったが、中は意外と広くゆったりとした空間が拡がっている。
和室のような広間には畳の上に各種生活用品が並び中央にはこたつと蜜柑、それに不釣り合いなホワイトボードと薄型テレビ。
トイレや風呂もあるようだ。
なるほど、守衛さんとかの宿舎の名残か何かか……きっと今の時代は機械警備になっているから必要なくなったんだろうな……とどうでもいい考察をする。
(ここが部室……)
俺は【あの後】、白い美少女に案内されこの空間に足を踏み入れていた。
そこには既に二人の人間がいた。
俺と白い美少女を加え、室内には四人になったがそれでも狭さは感じないくらいの広さだ。
白い美少女は着いた矢先、俺に部員を紹介しようと姿勢を正す。
「そう言えば……私も名乗ってなかった……私は」
「まぁそれより座りましょうよ~そっちのお兄さんもっ」
こたつに入り座っていた赤い髪のツインテールの少女がそう言い紹介を遮った。
「うむ、茶を出してからでいいだろう」
その少女の向かいに座っていた黒髪ポニーテールの美人がいそいそと台所に行き準備をする。
(この女子達が部員……同好会のメンバー……)
「いえ、見学なのでお構いなく」
座ってはみたが……まだ入ると決めてもいないのに色々してもらうのも悪いだろう。
ましてや、人数の足りない同好会。
期待だけさせるのも申し訳ない。
「そんな事は気にせんでよい、ゆっくりしていくがいい」
黒髪ポニーテールさんに普通に心を読まれる。
目の前には茶と和菓子が用意された。
「じゃあ~自己紹介しましょうかっ」
元気な赤髪ツインテールの娘が場をしきり出す。
「まずは部長からどうぞっ」
そう言われ、白い美少女が発言する。
「この部の部長、【白磁雪音(はくじゆきね)】二年、よろしく」
この白い美少女が部長だったのか……改めてその姿を見ても消え入りそうな……雪の音のような、名前にぴったりの美少女だ。
俺は【先ほどの出来事】を思い出そうとしてみた。
いや、やめておこう。
きっとあれは白昼夢の類だったのだろう。
それはそうだ、仮に何かしらの神的な力がはたらいてぶつかった拍子に全裸になるまではよしとしよう。
しかし、ソーラン節のようなかけ声で人の顔に脱糞する儚げな美少女などこの世にいるわけがない。
天文学的な確率でそんな人間がいたとして、その後何事もなかったかのように何の弁明もなく、気まずそうにも照れもせずに坦々と自己紹介などできるわけがない。
そんな鉄の心(ハート)を持つような少女には見えない。
「部長、何かスッキリしたような顔してますねっ」
「二十日来の便秘がさっき解消した」
白い美少女は便秘解消を告げると照れた。
照れる場所はそこじゃない、男性にお尻を丸出しにしたうえに『う○ち』をブッかけた事を照れるべきだろう。
俺だったら照れるどころか、もう生きていけないトラウマだ。
とりあえず聞かなかった事にしよう。
「うちは【黒檀夜永(こくだんよなが)】うちも二年だ。よろしくな」
黒髪ポニーテールの子が続く。
凛とした顔つき。
艶やかで全てを飲み込んでしまいそうな黒髪は結んでいても長くほどいたら恐らく腰くらいまであるだろう。
少し目付きが鋭いが、それこそが魅力といったまさに大和撫子。
完璧な日本美人だ。
「アタシは紅太陽(くれないたいよう)。一年ですっ! よろしくお願いしますっ!」
元気な赤髪の少女。肩からさげたツインテールがぴょこんと跳ねる。
明朗快活、愉快活発。まさに皆を照らす太陽。
可愛らしくあどけなさの残る童顔、こんな妹がいたらきっと家にすぐに帰りたくなるだろう。
(……ん? しかし、一年? 同学年? それなのにもう部活に入ってるのか?)
「アタシっ、この部活の噂聞いて入学式の日にすぐに入部届出したんですっ! だから今日で二日目っ! 少し先輩ですねっ」
赤髪ツインテールの子は元気に跳びはねる。
なるほど、凄い行動力。
きっとこの第一印象通りに明るくて裏表の無い元気な子なのだろう。
「俺は響木一斗。今日は見学に来ました。よろしくお願いします」
至って普通に俺も答える。
「部員は後一人いる、来るまでとりあえずゆっくりしてて」
部長の雪音さんが言う、それに習いだらりとする面々。
至って普通の部活動の風景に見える、何をする部か知らないが。
とりあえず聞いてみよう。
「ここは一体何をする部活なん
「あっ! バッタがいますっ!」
質問を遮り跳ねているのはツインテール美少女【紅太陽】。こたつの上にどこからか侵入した大きめの殿様バッタが跳ねていた。
自然に囲まれている場所だからごく自然な事だろう。
「いただきまーすっ!」
太陽もバッタを
自然に捕食した。
「まっずうぅぅぅぅっ!!?」
ゲロォォォォォォォォォォォォォォ
そして自然に重力を無視し、俺の顔に赤髪ツインテール美少女の嘔吐物がロケット噴射された。
俺の頭にとまるバッタ。
嘔吐物まみれになる俺。
バッタは五体満足(?)で無事だった
よかった、と俺は微笑んだ。
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