『ふたり』
やましん(テンパー)
『ふたり』
ハレー彗星のしっぽに入ったらどうなるか。
むかしは、真面目に悩んだかたも、あったとか。
コナン・ドイルさまの小説にもあります。
そこでは、地球中の人々が、次々に意識不明と…………
日本の短編小説にも、たしか、謎の女性からきゅーぶかなにかもらったひとだけは、核戦争を生き残りました。と、いうお話がありました。
ちょっとした、変形バージョンの『隠れ家』的な感じもします。
ぼくは、現在、入院をしておりました。
そうして、窓から、外のようすを眺めていたのです。
人間も、鳥も、みな、突然動かなくなりました。
それから、煙のように、消えていったのです。
事故が発生しそうでしたが、なぜか、大した事故は、目に入りませんでした。
自動車などは、先に止まっていたのです。
病院の中も、無人になりました。
腎臓から来る感染症で、熱を出し入院したのですが、もう、だいたい、収まっていました。
あすには、退院しようという話しに、なっておりました。
ナースコールしても、誰も来ませんし、返事もありません。
これは、まずいなあ。
医療崩壊じゃなくて、医療消滅だな。
まさか、未知の宇宙生物が、地球に、ぱらぱらと、何かを撒いたなんて、知ってるわけがありません。
さあ、どうしよう。
昼になっても、食事もでないです。
ナースセンターも、空っぽ。
コンピューターさんも、止まっています。
電話もすべて、停止。
充電ラジオも、テレビも、だめ。
放送自体が止まっているようです。
ぼくの、スマホも、活動停止です。
『う〰️〰️〰️〰️ん。』
電話も掛けられない。
誰にも、連絡できない。
『あ、無線機がある、が…………』
ふと、思いました。
ぼくは、アマチュア無線の資格がありました。
アマチュア無線機の電波は、結構飛びます。
とくに、高い場所からならば。
持ってきております。
しかし、発信場所を、知られるかもしれない。
これが、新手の侵略ならば、まずいかも。
ちょっと、二の足を踏みました。
ぼくは、寝巻きから、平服に着替えて、巨大な病院の玄関に降りました。
エレベーターは止まっているので、歩いてですよ。
いつもは、会計や、投薬で満員の広いホールも、みごと、がら空きです。
ちょっと、期待したけれど、こいごろ、や、こいしろが住んでいた大きな池にも、もはや、何者もいませんでした。
新型感染症で、世の中は、かなり混乱していましたが、もしかして、突然、ウィルスが凶暴化したのか。
しかし、最初に殺られそうなぼくが無事みたいなのは、不思議です。
玄関ホールに向かいました。
ふと、二重ドアの外側で、なにやら、そわそわしている、輩がいるではないですか。
『おわ。君は。やましんC』
『そういうあなたは、やましん・オリジナル。生きていたか。』
ぼくらは、握手しかけて、やめにしました。
『ほかには? だれか、生きてるかい?』
ぼくは、答えた。
『いや。いないな。』
『あらあ、病院もだめか。歩いてきたんだ。デパートも、警察も、からっぽだよ。期待してきたのにな。』
『はあ〰️〰️〰️〰️☺️ そうなんだ。』
ふたりは、エントランスのベンチに、力なく、座り込んだのでありました。
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参考 エブリスタ、『新小さなお話しその5《お化け屋敷のたびこさん》』
『ふたり』 やましん(テンパー) @yamashin-2
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