第13話 防暑服のではじめでした
暑くなってきました…。
物流現場での春と秋ほどいいものはありませんが、夏と冬ほどつらいものもありません。
冬は着こみます。
ヒートテック、フリースを2重に着て、さらにドカジャン。
オーバーパンツまではくこともあります。
でも寒い。
夏は…?
薄着しかないですよね…。
さて、僕が退職する前の夏にこんなものがサンプルで事務所に送られてきました。
そのころはこう言われてました。
「防暑服」
長袖のシャツで、腰のところに二つファンが入っていました。
シャツの内側にむけて常に風が送られるものですね。
今現在、宅配の人や屋外作業の人が着ているのをみかけます。
ずいぶんメジャーになってきましたね。
僕がまだ物流にいたころは出始めで、
「バッテリーどれくらいもつんだ…」
「動きにくくないかな…」
などと言っていました。
さて、サンプル。
着てみました。
真っ白いもので、ファンとバッテリーが少し重い。
そしてスイッチをいれると服が均等に膨らみます。
腕から肩から腰まわりまで。
「たしかにここでは涼しいかもしれないけれど、屋外だと熱風が結局は入ってくるんだよね…」
首まわり、袖から風が出ていきました。
「動きにくくはないですよ…」
物流のみなさん、忙しいみたいであまり僕に注意を払ってくれません。
仕方ないので、お隣の購買部に見せにいきました。
すぐに戻ってきて僕は防暑服を脱ぎました。
「どうしたの堀さん、もう脱いじゃうの…」
サンプルを取り寄せた部長が僕にいいました。
「これ、白いじゃないですか…、それにすっごく膨らむんですよ…」
「うん」
「だからとなりに行ってね」
「うん」
「ベイマックス! ベイマックス! ほらベイマックスみたいでしょって3回言って見せびらかしたんですがね…」
「ほう…」
「誰も反応してくれなかったんで帰ってきて今脱ぎました…」
せっかくベイマックスみたいになれたんですけれどね。
風がつねに服に中にあってよかったです。
普及したのがよくわかります。
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