キュン×キス!=君の歌
ひのはら
プロローグ
長い髪をコテで内巻きにワンカールして、トーンアップ効果のある日焼け止めを塗り込んで。
仕上げに淡いピンク色のリップクリームを滑らせるのは、全てあの子のためだった。
好きな女の子に少しでも可愛いと思われたくて必死に頑張った努力は、どうやら全て裏目に出てしまっていたらしい。
夕暮れのオレンジ色の光が差し込む放課後の教室。
まるで告白のシュチュエーションのようなシーンで渡された言葉は、何とも残酷なものだった。
『男ウケ狙ってさ、本当うざいんだけど』
『そんなつもりじゃ…』
『は?私があいつのこと好きなの知ってたでしょ?学校に化粧してきてさ、皆んなアンタのこと男ウケ狙い過ぎだって言ってるから』
誰にも言うつもりはない、宝箱に仕舞い込んだつもりだった恋心は、無理やり引っ張り出されてズタズタになるまで引き裂かれたのだ。
『私のことバカにしてたんでしょ?ちょっと可愛いからってさ…引き立て役とか言われて、私がどんな気持ちだったか分かる?』
『……ッごめん』
『悪いと思ってるなら、整形すれば』
どこで何を間違えたのか。
どうすれば、好きな人からこんなに酷い言葉を掛けられずに済むのか。
分からないけれど、ただ一つ言えること。
可愛いは、女の子の敵なのだ。
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