第122話 学園祭⑪
あっれぇ〜?
有希もいるのに、何かやたらと俺も声を掛けられている様な気がする…
そして、アチコチからチュロスだドーナツだと頼んでもいないのに手に持たされる…
金はいらない?何言ってんだ、俺はお前らの努力の結晶を無下にはしねーよ!
持たされた商品の代金についてはちゃんと支払っていく。
でも、あー、もう無理、食い切れねー!
俺はフードファイターじゃねーぞ!
一旦この食い物エリアから逃げよう。
なんか勝手に頻繁に利用しているけど、例の空き教室に逃げた。
「お兄ちゃん、スゴい量…
食べ切れないね…持って帰る?」
「あぁ、持って帰ろう。
一旦預かってくれるか?」
「いやー、この量は私のロッカーには入らないかな…。」
「じゃあ仕方ない、勝手に使って悪いが、帰るまではココに置いておこう。
次は何処に行きたい?」
「えっとね、友達からお化け屋敷が面白いから行った方がいいって言われたの。
一緒に行こ。」
「えっ…有希そういうのニガテじゃなかったっけ?」
「独りじゃ絶対に行かないよ、お兄ちゃんがいるから行けるんだよ。
…ダメ…かな…?」
この上目遣い…メッチャ可愛いなぁオイ!
「全然ダメじゃないよ、行こう!」
俺達はお化け屋敷に移動した。
土曜日より人が並んでいたが、並ぶのがイヤになる程では無い、きっと有希の様に口コミで人気が出たのかもしれない。
有希と雑談していると受付の順番が来た。
入口の外に机を出して料金を徴収している生徒が俺を見て、
「あっ、真之さん、いらっしゃい!
またお楽しみですかぁ?
好きですねー、もう、このっこのーっ!」
とニヤけながら、肘打ちを仕掛けて来た。
「えっ、何で俺の名前知ってるの?」
「何でって、昨日ソコの出口で真之さんにしがみついてた子が、『真之さんーっ!』て言ってたじゃないですか、皆羨ましそうに見てましたよ。」
……ヤバい……思ってもみない方向から言葉のボディーブローを喰らった……グフッ……!
「……あー、真由ちゃんかな…?
それとも…私の知らない人……?」
怖い怖い、まだお化け屋敷に入って無いのに真顔をするだけでスゴい怖い人(有希)が居るよ…!
「うっ…うん、真由ちゃんが入りたいって言うからさ…
あっ、順番そろそろじゃないかな、ねっ、チミ。」
俺は恐怖故に噛んだ。
この修羅場った状況を理解したのか、受付の生徒が冷や汗を流しながら、
「えっ、えぇ、このランタンを持って行ってくださいね、では、行ってらっしゃい。」
生徒さん、お化け屋敷入る前から体感温度を下げてくれてありがとうよ!
もう2度と来ねーからっ!
ぶすっとした有希の手を引っ張って入口から中に入る。
………………………………。
「あ"あ"あ"ーーーっ…!」
「うおーーーっ!」
「キャーーーッ!!!」
三者三様に声を上げ、通路を走って出口に出た。
やはり入るのは2度目なので仕掛けが判っている以上、1度目程怖くは無いが、身体が重い…
気付くと有希は俺の背中に
「おっ…お兄ちゃんーっ…
うえーんっ…」
とか言ってる、背後だから判らんけどきっと泣いてるよ、相当怖かったんだろうな。
俺はそのまま有希をおぶって3階から1階へと階段を降り、私物化している空き教室へと移動した。
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スミマセン、休みが2回潰れてて、いつも遅いのに更に遅れてます。
更新が遅い時は何かあったんだな、と気長にお待ちいただけると幸いです。
短編もお読みいただけると嬉しいです。
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